受験生マイページ ログイン
受験情報ブログ

ミライ教育Watching座談会【探究学習・グローバル教育編】(26年5月実施) Vol.1

未来の教育を語る!

edu Polaris 第16号(2026年7月5日発行)掲載


企画・文/ミライクリエ

私学の教育者・先生方をお招きし、「ミライ教育Watching座談会未来の教育を語る(探究学習/グローバル教育編)」を開催しました。

近年、教育のあり方は変化し、知識の暗記に加え、思考力・創造力・問題解決能力が求められる時代となっています。座談会には各私学の教育者・先生方が集まり、未来の学びについて活発な議論が交わされました。受験を控える受験生や保護者の皆様にとって、進路選択の参考となる貴重な機会となるでしょう。

(主催・ファシリテーター:ミライクリエ)

1)従来の学習と探究学習の違い

ーー 従来の学習と探究学習の違いについて、教えてください。

和田先生:

これは本当に、一言で言うと難しいテーマだなと日々感じています。従来の学習から「探究学習」という言葉が出てきてこれだけ流行り始めた背景には、やはり社会で求められる人材やスキルがアップデートされているという事実があります。今までは、ペーパーテストで良い点数を取って良い大学に進めば、ある程度の安定した人生が保証されていました。しかし、少子化やグローバル化、テクノロジーの進化といった様々な要因で、その根底は今、ガラガラと崩れています。だからこそ学校も、「読み・書き・そろばん」だけでなく、「学校を出てから実際に何ができるのか」「在学中にどんな経験を積んできたのか」を問わなければならない時代になっているのだと思います。

机の上だけでは足りない学び。それこそが探究活動です。東京成徳大学中学・高等学校では、高校の3年間を通じて「自分がやりたいこと、向いていること」をじっくり選択してほしいという願いから、高1の総合探究で「Diversity seminar (ダイバーシティゼミ)」という学びの部活動のような講座を設けています。これ、実は教員もガチンコなんです。先生方も4月にプレゼンをして、生徒が履修しなければゼミが潰れてしまうので、かなりの危機感を持って挑んでいます(笑)。コーヒーを1年間淹れ続けるゼミや手品、アプリ開発など本当に多彩ですが、共通のルールとして「必ず社会とつながること、社会的な評価を得ること」を掲げています。例えば、手品を極めるだけでなく幼稚園で披露したり、自然ゼミでゴミ拾いプロジェクトを企画したりと、生徒自身で社会との接続を作っています。

高2の修学旅行も全員一律のツアーではなく、自分で立てた仮説やテーマをもとに調査地を決める形にしました。中には「北海道の人は魚自体に塩分が含まれているから醤油を使わないはずだ」という仮説を立てて、現地でひたすら海鮮丼を食べ歩く調査をした子もいて、本当に面白いなと感心しました。最終的に素晴らしい論文ができるかどうかのレベル差はあるかもしれません。しかし、自分で問いを立てて現地に飛び込み、社会とつながる。この「学びの過程」こそが、これからの多様な社会を生き抜く子どもたちにとって一番大切な力になると確信しています。

青木先生:

ChatGPTをはじめとする生成AIの台頭により、教育のあり方は大きな転換期を迎えています。もはや「4科・5科の知識をどれだけ持っているか、どれだけ高い点数が取れるか」だけが正義とされる時代は終わりました。数字で測れる学力はあくまで一つの「武器」や「手段」であり、本当に大切なのは「その武器をどう使いこなし、社会の課題にどう立ち向かうか」という、自分なりの問いを立てる力です。順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校の探究学習は、まさにこの「頭を動かし、体を動かす」生きた学びを、6年間(あるいは3年間)のグラデーションとしてカリキュラムに組み込んでいます。中学1年では、これまでの知識をベースにしながら、グループワークや「演劇」を通じてチームで協働する楽しさと、自分たちを俯瞰して見る視点を養います。続く2年では、正解のない社会の問いに対して仮説を立てる力を磨き、3年間の集大成である「卒業プレゼン」へとつなげます。かつて、ある生徒が「新宿駅の使われていない出口」に目をつけ、1日中足を運んで泥臭く調査を続けました。結果として「すべての出口が使われていた」という、当初の仮説とは異なる“失敗”に終わりましたが、私はこれこそが最高の探究だと確信しています。自分の足で稼いだ事実を前に、堂々と胸を張って発表できた姿にこそ、これからの時代に必要な強さがあるからです。

高校1年では、この探究をさらに学術的に深化させます。高校からの新入生を迎えて再び取り組む「演劇」では、全員が脚本や音響などの役割を担い、10月の文化祭という明確なゴールへ向けて一つの作品を創り上げます。

和田先生:

探究学習の広がりとともに、教科横断型の学びもかなり自然に進んできていると感じます。例えば数学で放物線を学ぶ際に、体育と組み合わせて“どうボールを投げれば輪っかに入るのか”を実際に考えてみる。そうすると、数式だけではなく、体感を通して学びが深まっていくんですよね。国語や英語でも、単に知識を覚えるのではなく、言葉を使って考えたり表現したりする活動が増えていて、教科同士がゆるやかにつながってきています。こうした授業は、最初から完成形があるわけではなくて、先生同士で“こんなの面白そうだよね”と相談しながら、まずやってみることが多いです。そのうえで、生徒の反応を見ながら改善していく。その繰り返しが、探究的な授業づくりにつながっていると思います。

AI時代になり、知識そのものの価値が変化する中で、人間としてどう考え、どう協働するかが、これまで以上に重要になってきていると感じています。職員は必要な支援を行いつつ、生徒の主体性を尊重しながら授業を進めています。

事例紹介【東京成徳大学中学・高等学校】

英語だけではない、“生きていく力”を育むセブ島短期語学研修

東京成徳大学中学・高等学校では、中学2年次の3学期に全員参加型の「フィリピン・セブ島短期語学研修」を実施しています。現地の語学学校『GLC』では、2週間で約80コマの英語レッスンを受講。マンツーマンや少人数制授業を通じ、生徒たちは英語を実践的に使いながら、自信を身につけていきます。さらに、この研修の魅力は語学力向上だけではありません。スラム街訪問や『Anya’s Home』での交流を通じて、日本とは異なる価値観や社会課題に触れ、生徒たちは多くの気づきを得ています。親元を離れて海外で生活する経験も含め、この2週間は生徒たちの視野を広げ、自立心や主体性を育む大きな成長の機会となっています。

多様な学びから、自らの未来を切り拓く「Diversity seminar」

東京成徳中学・高等学校では、高校1年生を対象にした探究型学習プログラム「Diversity seminar」を実施しています。このプログラムでは、生徒が興味・関心に応じてゼミ形式の講座を選択し、少人数で専門的な学びを深めていきます。「人と自然の関わり」「アプリ開発」「SDGsと社会貢献」などテーマは多岐にわたり、生徒はオリエンテーションを通して講座内容を理解したうえで、自ら履修を決定します。自分の興味や将来像を見つめ直しながら学ぶことで、主体的に考える力や、多様な価値観を受け入れる姿勢を育成。さらに、実地研修やICT教育も積極的に取り入れ、仲間と協働しながら課題解決に挑戦する学びを展開しています。「Diversity seminar」は、生徒一人ひとりの創造性やグローバルな視野を広げ、未来につながる探究心を育む取り組みとなっています。

教育情報誌『edu Polaris(エデュポラリス)』とは?

情報誌『edu Polaris(エデュポラリス)』は、ONETES株式会社(旧・首都圏模試センター)が年3回実施する「適性ONEテスト」受検生全員に配布して、公立中高一貫校を志望する小学生と保護者をはじめ、お子さんをもつ多くのご家庭に「わが子の教育と進路を考える」うえでお役立ていただけるような入試情報・学校情報をお伝えする冊子です。一部の取り扱い書店やAmazon、楽天でも販売しています。

2021年~2025年までは、『my TYPE(マイタイプ)』という誌名で発行してきましたが、この2026年3月から会社名を「ONETES株式会社」と改めたことにともない、誌名も『edu Polaris(エデュポラリス)』と改称しました。

『edu Polaris』2026年7月5日号のデジタルマガジンはコチラ

Vol.2につづく

この記事をシェアする
  • リンクをコピーしました