ミライ教育Watching座談会【探究学習・グローバル教育編】(26年5月実施) Vol.2
edu Polaris 第16号(2026年7月5日発行)掲載
企画・文/ミライクリエ
私学の教育者・先生方をお招きし、「ミライ教育Watching座談会未来の教育を語る(探究学習/グローバル教育編)」を開催しました。
近年、教育のあり方は変化し、知識の暗記に加え、思考力・創造力・問題解決能力が求められる時代となっています。座談会には各私学の教育者・先生方が集まり、未来の学びについて活発な議論が交わされました。受験を控える受験生や保護者の皆様にとって、進路選択の参考となる貴重な機会となるでしょう。
(主催・ファシリテーター:ミライクリエ)
2)英語教育とグローバル教育の違い
ーー 英語教育とグローバル教育の違いについて、教えてください。
青木先生:
「英語教育」と「グローバル教育」の違いについてですが、私はこれらを『武器』と『フィールド』という関係性で捉えています。これまでの一般的な英語教育というのは、英語をしっかりと勉強して、自分の中の「武器を増やす」ためのものだと言えます。一方でグローバル教育とは、その身につけた武器をベースにして、「どのフィールドに出て、それをどう使うか」を実践していく教育のことだと考えています。つまり、英語を単なる勉強の対象として終わらせるのではなく、生きたコミュニケーションの「道具」として活用する段階を指すわけです。
順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校の強みは、生徒たちがその武器を実際に試せるフィールドや選択肢が、本当にたくさん用意されている点にあります。具体的な取り組みとしては、まず豊富な海外経験の機会が挙げられます。中学3年生と高校2年生の計2回、全員が海外に行く機会がありますし、留学先として選べる場所も12種類ほどと非常に多彩です。また、すでに高い英語力を持っている生徒たちを対象とした「グローバルコース」では、通常のクラスから取り出しを行い、別の教室で完全なオールイングリッシュ(All English)の授業を展開しています。
さらに、日常の学校生活そのものがグローバルな環境になっています。校内には現在8〜9名のネイティブ教員が在籍しており、3つある各職員室にそれぞれ2、3人ずつ机を並べています。今週も面談の練習を色々な先生と行っていますが、普段から日常的に英語で話しかけたり、コミュニケーションの道具として英語を使ったりできる機会が溢れています。私が初めてこの学校に来た時も、「本当に英語が身近にある環境だな」と強く感じたのを覚えています。このように、英語を武器として鍛え、それを実際に使うフィールドが多様にあることこそが、順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校の実践するグローバル教育です。
和田先生:
私が英語教員として日々生徒たちと向き合う中で、強く感じていることがあります。それは、「言葉を選ばずに言えば、英語は流暢に喋れるけれど人間的な魅力に欠ける人よりも、たとえ英語はたどたどしくても、豊かな人間性を持った『いい大人』『いい生徒』のほうが、遥かに価値がある」ということです。英語はあくまで自分の考えを伝えるための「ツール」に過ぎません。学校のグローバルプログラムを整理する上で、まずこの本質を教員間でしっかりと共有し、理解しておくことが不可欠です。
東京成徳大学中学・高等学校が考える「グローバル」の定義は、単に「地理的に遠い地域」を指すものではありません。ルーツや価値観が異なる目の前の「他人」と向き合い、対話すること自体がすでにグローバルな営みです。この捉え方に基づき、私たちは短期・中期・長期のグラデーションを持たせた独自のプログラムを展開しています。
その一歩目が、中学2年生で全員が経験する「2週間のセブ島留学」です。14歳という多感な時期に親元や日本を離れることは、生徒にとっても保護者にとっても大きな挑戦であり、覚悟が求められます。あえてセブ島を選ぶ理由は、英語のトレーニングや知識としてのSDGsや貧困を学ぶだけでなく、環境の違いを肌で「体験」してもらうためです。蛇口の水を飲めば体調を崩すような日本との違いに触れ、スラム街の孤児院で現地の子どもたちと触れ合う。均一な人間関係の中で育ってきた生徒たちが、世界には多様な現実があることを早期に知る意味は極めて大きいと言えます。
このサバイバルを乗り越えた先に、生徒たちにはさらなる選択肢が開かれます。多様な価値観が渦巻くニュージーランドでの3ヶ月留学に挑むのか、あるいは国内でのホームステイや探究学習を通して足元を見つめ直すのか。一度日本を一歩外から見た経験があるからこそ、その後の選択の幅が広がります。そこで必然的に使うのが英語ですが、結果として中国語やフランス語など、新たな言語や世界へ目を開くきっかけになっても構いません。未知の世界へ飛び込み、自分の意志で歩みを進められる、そんな逞しい人間力をこれからも育ててまいります。
青木先生:
今は高校生の海外研修の選択肢が本当に広がっています。順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校では、マルタやセブ島、カナダ、スウェーデン、インドなど行き先も多様で、語学だけでなく探究的な学びにつながる点が大きな魅力です。英語を学ぶだけでなく、現地で何を感じ、どう考え、行動するか。その経験自体が生徒を大きく成長させるのだと思います。また、2026年よりスタートした「デュアルディプロマプログラム」は、日本の学びを大切にしながら、同時に海外大学への進学可能性を広げられる点が非常に魅力的だと感じます。高校段階でアメリカの単位取得や学習スタイルを経験できることは、生徒にとって大きな自信につながります。進路選択の幅を広げるだけでなく、自ら挑戦する姿勢を育てる取り組みとして、今後さらに注目される教育だと思います。
事例紹介【順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校】
非認知能力を育む
教科「理数インター」は、学校独自の探究型教科です。従来の授業で重視されてきた「見える学力」だけでなく、創造性・主体性・協働性といった「非認知能力」を育むことを目的としています。授業では、一方的に知識を教わるのではなく、生徒同士が対話し、協力しながら「答えのない問い」に挑戦します。グループワークや創作活動を通して、自ら考え、行動し、発信する力を養うことが特徴です。また、失敗や試行錯誤を重ねながら学ぶことで、実社会で求められる課題解決力やコミュニケーション力も育成します。変化の激しい時代の中で、自ら道を切り開き、新たな価値を創造できる人材を育てることを目指した、先進的な学びの取り組みです。
デュアル・ディプロマ・プログラム(DDP)の魅力
順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校のデュアル・ディプロマ・プログラム(DDP)は、日本とアメリカの高校卒業資格を同時に取得できる画期的な教育プログラムです。このプログラムでは、アメリカ東海岸のProvidence Country Day School(PCD)のカリキュラムをオンラインで履修しながら、順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校での学校生活を続けることができます。DDPの最大の特徴は、英語で「学ぶ」「考える」「発信する」力を育成することにあります。生徒は、アメリカの高校教員によるライブ授業やオンライン教材を活用し、計画的に学習を進めます。これにより、英語力の向上だけでなく、主体性や継続力も培われます。さらに、DDPを通じて得た学びは、国内外の大学進学に直結します。英語による学習履歴を基に、海外大学への進学が現実的な選択肢となり、国内大学進学にも有利に働きます。順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校では、生徒一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、未来の進路を主体的に選択できる力を育成することを目指しています。
教育情報誌『edu Polaris(エデュポラリス)』とは?
情報誌『edu Polaris(エデュポラリス)』は、ONETES株式会社(旧・首都圏模試センター)が年3回実施する「適性ONEテスト」受検生全員に配布して、公立中高一貫校を志望する小学生と保護者をはじめ、お子さんをもつ多くのご家庭に「わが子の教育と進路を考える」うえでお役立ていただけるような入試情報・学校情報をお伝えする冊子です。一部の取り扱い書店やAmazon、楽天でも販売しています。
2021年~2025年までは、『my TYPE(マイタイプ)』という誌名で発行してきましたが、この2026年3月から会社名を「ONETES株式会社」と改めたことにともない、誌名も『edu Polaris(エデュポラリス)』と改称しました。
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