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学校特集

狭山ヶ丘高等学校・付属中学校2026

中学3年間で生徒一人ひとりの
潜在力を開花させる学び
「人間に生まれついての能力差はない」を信念に、学習フォローアップ体制を充実

掲載日:2026年8月7日(金)

2013年に狭山ヶ丘高等学校の付属中学校として開校して14年。6年一貫教育のプログラムに沿って、中学3年間は中学課程の学習内容の定着を徹底し、東京大学をはじめとした難関大学への進学実績を積み上げています。1学年約50名の少人数教育による手厚い指導と、朝ゼミ・放課後ゼミなど丁寧なフォローアップ体制を整えていることが大きな特徴です。「人間に生まれついての能力差はない」ことを信念に、自学自習の習慣を定着し、自主的かつ主体的に学びを深めていく能力を身につけていきます。探究活動や幅広い校外活動など、さまざまな体験を重ねることで個々の潜在力を開花させる同中学校の学びについて、教頭の大江基史先生と国語科の水口花織先生にお話を伺いました。

豊富な探究型活動を通じて、社会理解と自己理解の両面を深める

■農作業から始まる探究活動。リアル体験を原体験に

狭山ヶ丘_教頭の大江基史先生
教頭の大江基史先生

 同校の「総合的な学習の時間」を利用して行われる探究活動は、一つひとつの体験や経験を通じて社会理解を深めると同時に、自身の人生設計や目標を見定めるために必要な自己理解を促すものとなっています。 自己探究のプロセスは、中1から段階を追って計画的にプログラミングされていることが特徴です。

大江教頭:「中1・2学年の探究活動はまず、本校が所有する畑に週1回ペースで通って、班別に区画が決められた畑で季節野菜の植え付け・収穫を行う農作業から始まります。畑作業をしたことがない生徒が多いので、草むしりや水やりでも、最初は土を掘って虫が出てくるたびに大騒ぎです」

狭山ヶ丘_国語科の水口花織先生
国語科の水口花織先生

水口先生:「そもそもスーパーで青果物しか見たことがない生徒がほとんどですから、例えばナスがどういう植物で、どんな花の色をしているのかも知りません。昨年、白菜を収穫した時は、白菜の一番外側の葉はトゲが多くて軍手が必要なほどでした。そうしたこと一つとっても、生徒が実際に体験してみないとわからないことばかりです」

大江教頭:「単純な農作業に見えても、そこには気候変動や農作物の価格、日本の食糧自給率や環境問題、地域経済など、さまざまな社会課題が潜んでいます。もちろん中1でそこまで思い至らなくても、土に触り、食物が育つ過程を体験することに意味があります。そのリアル体験が原体験となり、生徒たちが社会問題に関心を持つ萌芽となるからです」

狭山ヶ丘_初めての農作業でも楽しい!
初めての農作業でも楽しい!

 収穫した野菜は各自が持ち帰って、学校で食べたり、家で調理をして食べたりしているそうです。

 探究活動のプロセスは次の通りです。
 中1は農作業の学習と併行して「調べ学習」のノウハウを学び、中2はSDGsの中から1つのテーマをグループ単位で選び、ポスターセッション、スライド作成の成果を文化祭で発表します。

狭山ヶ丘_調べ学習で「じゃがいもの歴史」を発表
調べ学習で「じゃがいもの歴史」を発表

 中3になると、「総合的な学習の時間」の集大成として、1年をかけて「研究レポート」(約4000字)の執筆に取り組みます。中3前期に、クラス内で紙芝居プレゼンテーション(KP法)を行ってブラッシュアップ。3学期に開催される「探究発表会」では、「研究レポート」の内容をわかりやすくまとめたポスターセッションを展示します。その発表は、保護者も見学することができます。

 中3の「研究レポート」は、「正解のない問い」に対する解決方法や模索する思考力、他者に対して自らの考えを論理的に伝える表現力を養うための取り組みです。その際に重要なことが、「問い」の設定です。

狭山ヶ丘_中2はSDGsから1テーマを選ぶ
中2はSDGsから1テーマを選ぶ

水口先生:「パソコンに向かうばかりで、考えがなかなか整理されない生徒が多いことから、最初のテーマ決めの段階で、『イメージマップ』を導入しました。自分の考えや頭の中にあるイメージを、言葉と図にして整理しやすくする思考ツールです。興味のあるキーワードを真ん中に書いて、周りに関連する言葉を連想ゲームのように書き出してイメージを広げていきます。1枚の紙に書いて論点を可視化することで、切り口や論点を見つけやすく、『問い』を立てることに役立てています」

 MLBロサンジェルス・ドジャースの大谷翔平選手が花巻東高等学校時代に書いた「目標達成シート(マンダラチャート)」を思い浮かべてもらうと、わかりやすいかもしれません。

「研究レポート」の作成は、2クラスの担任・副担任(4人)+中学教頭(1人)の計5人が45名の生徒を担当する「ゼミ」形式で行います。先生一人当たり、9人の生徒を受け持ち、丁寧なやりとりを重ねながら、レポート作成とポスターセッションに伴走していくのも、小規模校ならではの強みです。
 研究テーマは毎年、多岐にわたり、過去のテーマには北海道の観光促進案、内閣の解散権、IPS細胞、スマート農業、囲碁、e-スポーツなどもありました。

狭山ヶ丘_「研究レポート」は約4000字を執筆
「研究レポート」は約4000字を執筆

水口先生:「今年、私が担当するゼミでは、『推理小説は国語教材に向いているか』というテーマに取り組んでいる生徒がいます。教科的にも面白い着眼点だと思ったので、『なぜ今までミステリー小説が使われなかったのか』『採択される小説の基準は何か』などいろいろな疑問を投げかけていて、今後どんな展開になっていくのか、こちらもワクワクしているところです」

 発想豊かな生徒たちの柔軟な感性を受け止めるのも、先生方にとっての楽しみです。もちろん、試行錯誤しながら論点が紆余曲折する生徒もいますが、それも織り込み済み。「研究レポート」で重視しているのは、論理の裏付けとなるエビデンスを基に、自分の考えを盛り込むことです。

大江教頭:「論理に行き詰まったら、やり直せばいいのです。それは失敗でも何でもない。結論が正しいかど   うかではなく、問い→調べる→根拠→結論という思考のプロセスを学ぶことが、「研究レポート」の第一の狙いです。調べ学習だけで終わらせず、『自分はこう思う』と表明することにこだわりなさいと、生徒たちにはいつも伝えています」

水口先生:「中1からずっと側で活動を見ていると、生徒たちの3年間の成長スピードは本当に速く、グループの調べ学習から始まって研究レポートに至るまで、これほど成長するものかと驚かされます。だからこそ、中学時代に何を学ぶかが重要だと感じています」

■弁護士を招いて、全学年合同でディベート・ワークショップ(探究×キャリア教育)

「総合的な学習の時間」の一環として、同校では外部と接点を持つ機会も積極的に設けています。 埼玉弁護士会の出張授業(法教育ディベート)もその一つ。昨年は「学校内でのスマホの使い方」、今年は「食べ放題の食べ残しに追加料金は必要か?」といった身近なテーマを題材に、全学年合同のディベート・ワークショップを行いました。生徒たちがグループごとにまとめた意見書に対して、弁護士から「筋が通っているか?」「根拠は明確か?」といった反論・フィードバックをもらいます。

水口先生:「こちらが少し難しいテーマかなと思っていても、生徒たちは毎回楽しそうに話し合っていますね」

大江教頭:「弁護士の方たちは、生徒たちの意見に対して真剣に反論してくださるので刺激になりますし、物事を多角的に捉え、意見を論理的に組み立てて伝えることの重要性を学ぶ機会になっています」

 こうした全校合同行事を行う時は、できるだけ学年縦断によるグループワークを実施しています。上級生はグループ内でのリーダーシップを学び、下級生は上級生の姿をロールモデルにして成長する機会となるからです。また、弁護士の方と間近に接することで、キャリア教育にも繋げています。

自学自習の習慣確立ときめ細やかな学習指導で、最難関国公立大学合格を目指す

■「塾いらず」のフォローアップ「授業+α」で、自学自習を習慣に

 同校の6年教育を受けて巣立った卒業生は8期、人数にして約380名。そのなかで、すでに東京大学現役合格者を4名輩出し、その他の国公立大学、難関私立大学、医学部にも数多くの合格者を出しています。中学で教える先生方のほとんどが高校の授業も担当しており、大学入試を念頭に置いた授業が展開されていることもありますが、基礎学力を重視する教育方針が土台にあることも重要なポイントです。

大江教頭:「本校が最も力を入れるのは、基礎学力を定着させる教科指導です。付属中学校から進む内進生の多くは、難関国立大学を目指すⅠ類コースに進むので、中学時代はどの教科も満遍なく学び、高校の授業レベルについていけるだけの十分な基礎学力が必要なのです」

 スポンジが水を含むように吸収していく時期だからこそ、自学自習の習慣化が必要です。そのために、同校では開校以来、「授業+α」の学習に取り組んでいます。曜日ごとに教科を決めた小テストや朝ゼミ・放課後ゼミ、夏期・冬期の休業中は無料の長期講習も行っています。「塾いらず」の手厚いフォローアップ体制が、好調な進路実績に繋がっています。

大江教頭:「できるようになるまで再テストも行います。時には、強制的に残したりしながら、勉強するのは当たり前という思考回路にしていきます。やや保守的なやり方だと思われるかもしれませんが、中学での学びは、苦手だからやらなくていいものではなく、将来に繋がる基本的な知識だからです」

水口先生:「中1では課題をこなすことで精一杯なので、何のための学びかを理解するまでに時間がかかることは仕方がありません。中学3年間をかけてその理解度を上げ、自走できるように指導していくことが大事だと思っています」

 1960年に狭山ヶ丘高等学校を建学した創立者の近藤ちよは、次のように述べています。
「人は、好きなことばかりをして人生を生きることはできません。たとえやりたくないことであっても、やるべきことやらねばならないことに、どれだけエネルギーをつぎこむことができるかによって評価されるのです。(中略)やらねばならぬことを自ら進んで行おうとすること、それが、『事にあたって意義を感ぜよ』ということなのです(後略)」

「できなかったら、できるようになるまでやる」「やればできる」というシンプルな発想を植え付けていくことが生徒自身の自己肯定感に繋がり、「自学自習」の姿勢で自走できる力を培っていきます。
 同校では、中学専用の図書室と自習室を整備しています。最終下校時間に合わせて、夏期(4〜9月)は19:00まで、冬期(10〜3月)は18:00まで利用可能。「自学自習」の習慣を身につけた多くの生徒たちが、自主的に予習・復習に取り組んでいます。

「授業+α」の取り組み

・朝ゼミ、放課後ゼミ 英語・数学・国語の3教科を、学年別・レベル別に分けて合計週3回ほど実施。朝ゼミ(7:20〜8:10)の時間に合わせたスクールバスも運行。全て無料。
・小テスト 学力の定着を図るため、全学年で実施。授業内だけでなく帰りのホームルームで行うことも。授業内容が定着しているかどうかを図るため、できるようになるまで再テストも。
・長期講習 夏期講習(7月下旬の1週間程度・+8月下旬の10日間程度)は計20日間。英語・数学・国語の3教科を1コマ80分で実施。冬休み前に行われる冬期講習は約4日間。習熟度別にクラスを編成。基礎コースは復習を重点的に、応用コースは授業よりワンランク上の内容に挑戦する。授業は同校教員が担当し、すべて無料。


■伸び代を証明する学力推移調査

 同校では、全学年で年3回(3年間で9回)、ベネッセコーポレーションが提供する「学力推移調査」を実施しています。自身の学習習熟度を確認すると同時に、苦手な教科を把握して集中対策を行い、学力アップに繋げています。学年全体の偏差値ポイントは年々確実に上がっており、同校での学びが、生徒たちの潜在的な学力を上げていること、伸び代があることがデータで証明されています。

大江教頭:「調査の結果が戻ってきたタイミングで、学期に1回、進路ガイダンスを行い、『今回の結果はこうだよ』と示しながら、次の学習プランをどうすべきか話し合います。数字がすべてではないけれど、データは嘘をつきません。そして、25人の生徒がいれば25通りの結果があり、重点課題も25通りあるわけです。データを分析して、次にどう繋げるか、生徒自身が得手不得手を自覚しながら、次に繋がる学習プランを考える。それこそが、自学自習であり、自走へのステップになると考えています」

狭山ヶ丘高校のコース編成

Ⅰ類(難関国立進学コース) 東京大学をはじめとする国立大学の現役合格を目指す
Ⅱ類(特別進学コース)   国公立大学や早慶上理をはじめとする最難関私立大学の現役合格を目指す
Ⅲ類(総合進学コース)   文武両道を合言葉に、クラブ活動にも励みながら難関大学合格を目指す
Ⅳ類(スポーツ・文化進学コース) クラブ活動に重点を置きながら大学進学を目指すコース
*付属中学校の生徒はⅠ〜Ⅲ類に進学可能

狭山ヶ丘ならではの多種多彩な学校行事を通じて豊かな人間性を育む

■誰かの、何かのきっかけになる体験型校外学習

 座学の授業や探究活動以外にも、同校では、理科実習や社会科見学など体験型の校外学習に力を入れています。単に知識を獲得することでなく、主体性を引き出す取り組みとして綿密な事前学習を行い、グループワークは社会性や集団規律を学ぶ場となっています。

狭山ヶ丘_理科実習でJAXA筑波宇宙センターを訪問
理科実習でJAXA筑波宇宙センターを訪問

大江教頭:「自然豊かな環境にも東京都心にもアクセスしやすい立地の良さを活かして、できるだけ学校の外に出ていく機会を作るようにしています。伝統行事の軽登山は、昨今のクマ騒動の影響で中止となりましたが、今年は、東京・丸の内にある赤煉瓦造りの「三菱1号館美術館」と、同じく丸の内のKITTE内にある「インターメディアテク」の見学が加わりました。中1・2の農作業をきっかけに農学部に進んだ生徒もいますし、いろいろなことを経験していくなかで、誰かの、何かのきっかけになることを願って、取り組んでいます」

●科学的探究心を育成する理科実習(年1回)
多摩動物公園、JAXA筑波宇宙センター、国立科学博物館、城ヶ島、葛西臨海水族園、多摩六都科学館など
●地理歴史の視点から世の中を見つめる校外学習(年1回)
鎌倉周辺、江戸東京博物館、小田原、東京駅周辺、東京国立博物館、川越周辺など

■五感で感じるリアル体験が、いつか糧になる

 10代の生徒たちにとって、五感で感じるリアル体験ほど実となる学習はありません。中3の修学旅行(三重・名古屋方面/4泊5日)は、「できるだけ自分では行かなそうなところ」として、名古屋市にあるトヨタ産業技術記念館と伊勢神宮をメインスポットにしています。

狭山ヶ丘_トヨタ産業技術記念館で日本の技術発展の原点に触れる
トヨタ産業技術記念館で日本の技術発展の原点に触れる

大江教頭:「トヨタ産業技術記念館は、大正時代の機械が実際に製品を作れる状態で置かれています。また、これからのグローバル社会で生きていく生徒たちにとって、日本の伝統の根源でもある伊勢神宮での体験は有意義なものになると思っています。資本主義とは対極にあるような理屈で1000年、1500年と守り抜いてきた伝統の重みを、清涼な五十鈴川の美しさと共にリアルな肌感覚で記憶に残すこと、それがいつか生徒たちの糧になると思っています」

「茶道」「黙想」「対話」を3つの柱とする「自己観察教育」

 同校は、「事にあたって意義を感ぜよ」を校訓として、困難に立ち向かい、将来を切り拓いていくためにやらなければならないことを、自ら進んで行おうとする力の育成に取り組んでいます。その礎となっているのが、創立者の近藤ちよが創始した「自己観察教育」です。創立当時の建学の理念を現状に適応するように発展させた人間教育「自己観察教育」は、「茶道」と「黙想」、そして「対話」の3つの柱で成り立っています。

心身の落ち着きを得る「茶道」教育
狭山ヶ丘_茶室「悠久庵」でお手前を学ぶ
茶室「悠久庵」でお手前を学ぶ

 同校の「茶道」教育は、必修単位として高3の「総合学習の時間」(週1回)に導入されています。裏千家の正教授から本格的な茶室「悠久庵」で教えを受け、日本の伝統文化である「和敬静寂」の精神を体得することで、大学生として、社会人として必要となる豊かな人間性と国際性を培います。「茶道裏千家初級許状」の取得を卒業の必須条件としています。

内省力を育む「黙想」

「黙想」も、「茶道」と同様に開校以来継続している同校独自の伝統です。各授業や学校行事の冒頭に、一斉に姿勢を正して息を整え、静かに自分を見つめる約1分間の「黙想」を行います。静かに自分自身を見つめ直す時間を持つことを6年間重ねるうちに集中力がつき、自分を律する強さを身につけていきます。面接試験や学力試験の直前に「黙想」することで、「平常心で臨むことができた」という生徒が毎年数多くいるそうです。

   
コミュニケーション能力を育む「対話」教育
狭山ヶ丘_コミュニケーションで多様な価値観を共有する
コミュニケーションで多様な価値観を共有する

 各授業でグループワークを積極的に取り入れ、対話的な深い学びを実践。学校生活全般で先生と生徒、また生徒同士のコミュニケーションも活発です。理科実習や校外学習などで班別行動を重視しているのも、対話を通して多様な価値観を共有し、仲間たちと協働していく姿勢を養うことに繋がるからです。

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