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学校特集

城西大学附属城西中学・高等学校2026

100年続く理念を次の時代へ。自ら考え、挑戦する『人間味』を育む

掲載日:2026年10月1日(木)

「100年前から受け継ぐ理念は変えない。しかし、その実現方法は、時代に合わせて変えていく」――。そんな考えのもと、国際交流や探究学習、海外進学支援など、教育をアップデートし続けているのが、城西大学附属城西中学・高等学校です。
同校が目指すのは、知識を身につけるだけではなく、自ら問いを立て、挑戦し、他者と協働しながら社会の中で自分らしく生きていける人材を育てること。そのために、校長自ら海外研修に同行し、生徒の探究活動では地域や企業との連携を後押しするなど、「現場でともに学ぶ教育」を実践しています。
100年以上受け継がれてきた自由教育は、変化の激しい現代にどう応えようとしているのでしょうか。同校の卒業生でもあり、学校改革を進める校長の神杉旨宣先生に、その思いを伺いました。

100年のDNAを、現代へ。
「自由教育」をアップデートし続ける理由

城西大城西_
校長の神杉旨宣先生

「勉強しかやらない学校にはするな。1人で食べていける、たくましい人間を育ててほしい」――神杉旨宣先生が校長就任時、当時の学園長から託されたこの言葉は、現在の学校づくりの原点になっています。

 城西大学附属城西中学・高等学校は、「天分の伸長」「個性の尊重」「自発活動の尊重」を建学の精神に掲げ、大正自由教育の流れを汲む1918年創立の伝統校です。創立以来、一人ひとりの個性を尊重し、体験を通して主体的に学ぶ教育を大切にしてきました。その考え方は、現在の同校の探究学習にも通じるものがあります。

 しかし神杉先生は、「伝統とは、昔の姿をそのまま守ることではない」と話します。
「100年前の理念は今も変わりません。ただ、その理念を実現する方法は、時代とともに変わり続けなければなりません。型にはめる教育ではなく、生徒や社会の変化に合わせて進化していく。それこそが本校らしさだと思っています」

城西大城西_城西大学と連携し探究を進める生徒もおり、それぞれが自分自身の将来と向き合っています
城西大学と連携し探究を進める生徒もおり、それぞれが自分自身の将来と向き合っています

 その確信は、卒業生たちの歩みにも表れています。政治家、研究者、芸術家など進路はさまざまですが、神杉先生が共通して感じるのは、「自分で考え、自分で選び、自分らしい人生を歩んでいる」という姿です。
「誰かに決められた道ではなく、自分で選択して生きていく。その姿を見て、本校が100年前から大切にしてきた自由教育は、今の時代にこそ価値があるのだと改めて感じました」

 こうした考えのもと、同校は理念を変えずに教育の中身を磨き続けています。AIが急速に進化し、知識だけでは価値を生み出しにくい時代だからこそ、学校が育てるべきなのは、人を思いやり、社会の中で自ら考え、行動できる力です。

「私たちが育てたいのは、決められた正解をなぞる人ではありません。失敗を恐れず挑戦し、自分なりの答えを見つけられる人です。この先いくら技術が進化しても、最後に問われるのは『人間味』なのだと思います」

「道を知る」だけでは終わらない。
"世界で学ぶ"を実践へつなぐ国際交流

城西大城西_高1では全クラスに1名以上の長期留学生が在籍しています
高1では全クラスに1名以上の長期留学生が在籍しています

 同校の教育を語るうえで欠かせない柱の一つが、40年以上積み重ねてきた国際交流です。

 1982年にアメリカの姉妹校との交換留学から始まった取り組みは、現在では8か国21校の姉妹校・提携校へと広がりました。これまでの海外派遣生徒数は累計2,111名。近年は、年間約90名(長期・短期合計)の留学生を受け入れるなど、世界各国から集まる生徒たちが日常的に学び合う環境が広がっています。

 しかし神杉先生は、「海外へ行くこと」自体が目的ではないと話します。
「今はスマートフォン一つで世界中の景色を見ることができます。でも『道を知っていること』と『実際に歩いたことがあること』は、まったく違います」

城西大城西_学びを深めてきたからこそ、堂々とプレゼンを披露します
学びを深めてきたからこそ、堂々とプレゼンを披露します

 その考えを象徴するのが、中3生全員が参加するオーストラリア・ブリスベンでの海外研修です。研修前には約2年間かけて比較文化研究に取り組み、自らテーマを設定して調査・考察を重ねます。そして成果を英語でまとめ、現地で一人ひとりがプレゼンテーションを実施。現地校の生徒や教員との対話まで含めて、一つの学びとして設計されています。

「以前は、お邪魔しているという感覚に近い面もありました。今は事前研究を行い、現地で発表し、対話する。学びを社会で試すところまでがプログラムです」

城西大城西_ごく普通に、留学生と共に学ぶ環境が整っています
ごく普通に、留学生と共に学ぶ環境が整っています

 なお、同校には「国際コース」はありません。留学生だけを特定のクラスに集めるのではなく、日本人の生徒と同じ教室で学び、部活動や学校行事も共に過ごします。実際に、体育祭では留学生が応援団として声を張り上げ、文化祭では一緒に企画をつくる。日常そのものが異文化交流になっていることも、同校ならではの特徴です。

 神杉先生は、「国際交流とは海外へ行くことだけではありません。毎日の学校生活の中で異なる文化や価値観に触れることが、生徒にとって大きな学びになります」と話します。

 神杉先生が特に印象深かったと振り返るのが、フランスからの留学生の帰国前スピーチです。
「『私はフランスへ帰っても、日本とフランスをつなぐ当事者であり続けたい』と、しっかりとした日本語で話してくれました。教員も驚くほど高い視座を持った言葉でした」

 その姿は、日本の生徒にも大きな刺激を与えます。「次は自分も海外へ行ってみたい」。そんな思いが自然と生まれる環境そのものが、城西大学附属城西中学・高等学校の国際交流なのです。

 神杉先生自身も海外研修へ同行し、生徒と同じ景色を見ながら学びを続けています。「校長だから学校に残る」のではなく、自ら現場に立ち、生徒と同じ経験を積み重ねる。その姿勢からも、「体験を通して人を育てる」という同校の教育哲学が伝わってきました。

社会課題を"自分ごと"に。
「実践型探究」が育む自己有用感

城西大城西_池袋エリアの子ども食堂でボランティアに励む生徒たちもいます
池袋エリアの子ども食堂でボランティアに励む生徒たちもいます

 同校が国際交流と並んで力を入れているのが、社会とつながる「実践型探究」です。神杉先生が目指しているのは、課題を調べて発表して終わる探究ではありません。社会課題に向き合い、自ら考え、行動し、その経験を通して「自分にも社会の役に立てることがある」と実感できる探究です。

 その背景には、日本の若者への危機感があります。
「こども家庭庁の調査では、日本の子どもたちは海外と比べて『自分には長所がある』『社会の役に立っている』と感じている割合が低いという結果が出ています。だからこそ、教室では得られない経験を通して、自己有用感を育てたいのです」

 その象徴が、高校生の希望者が参加するキャリアプログラム「α(アルファ)ゼミ」です。企業や大学、NPO、地域と連携しながら、生徒たちは「高校生が地域のためにできること」をテーマにフィールドワークを実施。商店街や住宅街を歩き、住民への聞き取り調査を重ねるなかで、高齢者の孤立や子育て世代の居場所不足といった地域課題に気付きました。

 そこで生まれたのが、学校のカフェテラスを地域へ開放し、高齢者や子育て世代、留学生などが自然につながれる交流拠点をつくるという提案です。生徒たちは調査結果やデータをもとに企画をまとめ、地域住民や、まちづくりの実務に携わる専門家へ提案を発表しました。

 発表後、神杉先生は、参加してくれた専門家から「この企画を本当に実現するのが校長先生の仕事ですよ」と声をかけられたといいます。そのひと言に背中を押され、現在は理事会とも相談しながら実現に向けた検討を進めています。

城西大城西_「フードロス」をテーマに探究を進め、その成果を大阪万博で披露した生徒たちも
「フードロス」をテーマに探究を進め、その成果を大阪万博で披露した生徒たちも

 生徒の提案を発表だけで終わらせず、社会実装まで目指す。その背景にあるのが、神杉先生自身が「現場で学ぶこと」を大切にしている姿勢です。
「1,000人いれば、1,000通りの心が動く瞬間があります。その経験が、各自の人生の『根っこ』になる。探究とは知識を増やすことではなく、人としての土台を育てる営みなのです」

 その積み重ねは、生徒自身の意識にも表れています。同校の高1生に実施したアンケートでは、「今の自分が好きだ(『強くそう思う』『そう思う』)」と答えた生徒は69%、「今の生活が充実している(『強くそう思う』『そう思う』)」と答えた生徒は90%に達しました。

 神杉先生は、この結果を特別なものとは捉えていません。
「自分で考え、挑戦し、誰かの役に立てたという実感が積み重なれば、『今の自分が好きだ』と思えるようになる。それが自己肯定感や自己有用感につながっていくのだと思います」

 知識を身につけるだけでなく、「自分にもできることがある」と実感する経験を積み重ねること。その考え方こそが、時代を超えて大切にしている同校の教育の本質なのだと感じました。

「教育は人でつくる」。
校長自ら現場に立ち続ける理由

 神杉先生が大切にしているのは、生徒に答えを与えることではなく、一人ひとりの可能性を信じ、最後まで見守り、見届けることです。

「卒業生やその保護者から『城西で本当に良かった』という言葉をいただくことも多く、私自身が救われています。30年以上に渡り教員を続けていますが、生徒に与えたものより、生徒からもらったもののほうが多いと思っています」

 その言葉には、多くの生徒と歩んできた実感がにじみます。だからこそ神杉先生は、「教員の役割は、生徒をゴールまで連れていくことではない」と話します。

城西大城西_生徒と先生方の強い信頼関係が築かれています
生徒と先生方の強い信頼関係が築かれています

 生徒自身が「自分の力でここまで来られた」と思えるよう支えること。教員は答えを与える存在ではなく、生徒の可能性を信じ、共に伴走する存在でありたい――それが神杉先生の考えです。

 大切にしているのは、学習だけでなく行事や部活などの多様な挑戦機会があるということ。そして学校生活のさまざまな場面を共に過ごし、見守ることで生徒の表情や内面の変化、成長機会を見逃さずにしかるべき時にきちんと声をかけ続けること。

「失敗も成功もすべて体験した上で、努力の末の成功体験を多く積んでもらいたいと思っています。自分自身の力でやり切ったという達成感をもってほしいので、あえてできる限り見守るようにしています」

 若い教職員にも、「何が正しいかより、何が楽しいかを追求してほしい」と伝えているのだとか。先生自身が挑戦を楽しむ姿こそ、生徒にとって最良の教材になるからです。

 教員もまた、生徒と同じように挑戦し、学び続ける存在である――。神杉先生の言葉や行動からは、そんな教育観が一貫して伝わってきました。

一人ひとりの可能性を広げるために。
進化を続ける学びと入試

城西大城西_9月に開催される「しいの木祭」は、中学生と高校生、PTAなどが合同で行う文化祭。毎年大盛況を博しています
9月に開催される「しいの木祭」は、中学生と高校生、PTAなどが合同で行う文化祭。毎年大盛況を博しています

 こうした教育は、近年、受験生や保護者からも高く評価されています。神杉先生によると、学校選びの基準は「偏差値」だけではなく、「6年間でどんな人間に成長できるか」を重視する家庭が増えているといいます。

 その変化に応えるように、同校では入試制度もアップデートを続けています。例えば、英語資格を活用した判定優遇制度を設け、2科・4科受験のいずれでも英語資格を評価する仕組みを整えています。

 また、公立中高一貫校を目指してきた児童との親和性も高く、適性検査型入試を通じて入学する生徒も増えています。

「本校では、成績だけで生徒を分けるような学校づくりはしていません」
 神杉先生は、多様な個性や価値観を持つ生徒が共に学ぶこと自体に、大きな教育的価値があると考えています。

 進路面でも新たな取り組みが始まっています。日本の高校卒業資格と海外高校の卒業資格を同時に取得できるデュアル・ディプロマ・プログラムを活用し、海外大学へ進学する生徒も現れるなど、一人ひとりの進路に応じた選択肢が広がっています。

城西大城西_文武両道も魅力です。写真の陸上部のように、全国レベルで活躍するクラブも多数あります
文武両道も魅力です。写真の陸上部のように、全国レベルで活躍するクラブも多数あります

 最後に、中学受験に取り組む保護者へのメッセージを伺いました。
「12歳までにご家庭で育まれた価値観や親子の対話は、学校には決して真似できない財産です。私たちは、その土台を受け継ぎながら、お子さんが自分らしく成長できるよう全力で支えていきます」

 100年前から受け継がれてきた自由教育の理念を守りながら、実現の方法は時代に合わせて進化させる。国際交流も、探究も、進路指導も、根底にあるのは「一人ひとりが自分らしく生きる力」を育てるという一貫した思想です。理念を守るだけではなく、時代に合わせて学びの在り方を磨き続ける姿勢こそが、同校の最大の魅力なのかもしれません。

 取材を終えて強く感じたのは、城西大学附属城西中学・高等学校が育てようとしているのは、「正解を知っている人」ではなく、「自分で考え、挑戦し、自分なりの答えを見つけられる人」だということです。変化の激しい時代だからこそ、こうした教育の積み重ねが、生徒たちが自分らしく生きるための礎になるのでしょう。

 ぜひ一度、城西大学附属城西中学・高等学校を訪れ、その学びの現場を体感してみてください。

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