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学校特集

昭和学院中学校・高等学校2026

探究活動の集大成は全生徒が発表する「探究フェスティバル」
~未来を切り拓く力を育む6年間の探究教育~

掲載日:2026年7月29日(水)

大学入試改革や社会の急速な変化を背景に、多くの学校で探究学習への注目が高まっています。その中で昭和学院中学校・高等学校が力を入れているのが、中学から高校まで6年間を見通した体系的な探究教育です。身近な課題の発見から企業の課題解決提案、自らの興味・関心を追究する個人研究へと学びを発展させ、その集大成として毎年1月に開催されるのが全校生徒約1700人が参加する「探究フェスティバル」。昨年度は初めて他校や大学関係者も加わり、参加者2000人を超える一大イベントとなりました。中学・高校それぞれの探究活動を担当する先生方と生徒たちへのインタビューから、昭和学院ならではの探究活動の魅力に迫ります。

5つのコースで広がる多彩な学び

 昭和学院は、「明敏謙譲」(活力をもって未来を拓き、英和をもって社会に生きる)を建学の精神に掲げ、1940年に創立されました。学力だけでなく人間力や個性を伸ばす教育を実践し、既存の枠組みにとらわれることなく、新しい意見や外部のプログラムも積極的にとり入れて活発に教育活動を展開しています。
 中学では、英語力や国際感覚を育むIA(インターナショナルアカデミー)コース、難関大学進学を目指すAA(アドバンストアカデミー)コース、幅広い進路に対応するGA(ジェネラルアカデミー)コース、科学的探究を重視するSA(サイエンスアカデミー)コースの4コースを設置。中3からは最難関大学進学を目指すTA(トップグレードアカデミー)コースが加わり、自分に合ったコースでのびのびと個性と能力を伸ばします。

 探究学習もコースの特色を生かして実施しています。中学ではAA・GA・TAの3コースで週2時間探究プログラムを実施し、課題発見力や発想力、表現力を育成します。高校では週1時間「総合探究」の授業を行い、GAコースではそれに加えて高2は週1時間、高3は週2時間、「マイゼミ」という探究プログラムで興味関心を掘り下げ、将来につながる活動を展開します。

中学3年間で体系的に「探究」を学ぶ

昭和学院_中1担任の国語科・根本倭多留先生
中1担任の国語科・根本倭多留先生

 中学の探究活動を担当する根本倭多留先生は、「高校で本格的に探究に取り組むための土台づくりが中学の探究の役割です」と話します。

 AA・GA・TAコースの「探究」は2023年から「教育と探求社」が提供する探究プログラム「クエストエデュケーション」を導入。中1から中3まで体系的に探究を学ぶカリキュラムが組まれています。

「それまでは探究の授業は個々の教員の裁量にゆだねられており、担当教員によって毎年内容が変わりました。でも教科書なしで授業をするのは難しいし、ゼロから教員が組み立てると負担が大きいのも事実。せっかくの活動が継承されなかったり次につながらないともったいないので、きちんと設計されたプログラムを導入することにしたのです。どの教員も同じ内容を段階的に教えられるので教員・生徒の双方にメリットが大きく、いい流れが定着しつつあります」(根本先生)。

 中1が取り組むのは「ソーシャルチェンジ」。身近な社会課題や困っている人に目を向け、その人たちを笑顔にする企画を考えます。中2のT.Kさんは、昨年は視覚障がい者の方の困りごと解決に取り組みました。「3コースの生徒全員をシャッフルしてチームを作り、意見を出し合いました。そして支援を求める視覚障がい者と、世界中のボランティアや企業をライブビデオやAIを通じてつなぐ『Be My Eyes』というアプリを見つけ、そうしたサービスの内容や使い方、使い勝手などを調べて発表しました」(T.Kさん)。

 中2はイオンリテールや大和ハウスなどの企業から与えられたミッションに取り組み、次世代に向けた商品やサービスを提案する「コーポレートアクセス」に挑戦します。生徒たちは希望する企業を選び、チームを編成して企業視点に立ちながらアイデアを練り上げていきます。

昭和学院_目覚ましアイテム「ケンタくん」の試作品
目覚ましアイテム「ケンタくん」の試作品

 中3の「スモールスタート」プログラムでは自分たちが起業家となり、ゼロから商品やサービスを考案します。「勉強に集中できない」「朝起きられない」といった同世代ならではの悩みを出発点に、ビジネスとして成立する仕組みまで考えるのが特徴です。
「このプログラムでは2回、プロトタイプ(試作品)を作ってお互いに体験し合い、そこで得た意見を元にブラッシュアップしていきます。たとえば去年出たアイデアの1つ『ケンタくん』は、目覚まし時計やスマホアラームより強力な「目覚ましアイテム」。セットした時間になるとピヨピヨと鳴きながら巣を飛び出して歩きまわり、捕まえて巣に戻すまで鳴き続けるというものです。実際にお菓子のかごに綿を詰めて巣を作り、鶏も綿や色紙で原寸大の作品を作成して注目を集めました。ほかにも、問題を解いてポイントが貯まると文房具と交換できる学習支援アプリ、好きなキャラクターの情報を集約したアニメファン向けサイトなど、中学生ならではの柔軟な発想から生まれた提案が数多く登場しています。

昭和学院_思いつくままにアイデアを出していく
思いつくままにアイデアを出していく

 探究のスタートはアイデア出しなので、授業では付箋を使ったブレーンストーミングを行い、生徒たちは思いついたことを自由に書き出していきます。
「中学生のうちは常識にとらわれない発想を大切にしています。『こんなことを書いたら笑われるかもしれない』と思わず、とにかく書いてみようと伝えています。意外なアイデアの中に面白い種が隠れていることが多いからです。もちろん実現可能性も大切ですが、中学段階では『そんな考え方があったのか』という発想力を重視しています」と根本先生は話します。そうして生徒たちはグループで意見を出し合い、試作品づくりや中間発表を重ねながら、探究のプロセスそのものを学んでいきます。
「結果も大切ですが、それ以上に探究のプロセスを経験することが重要です。答えのない問いに向き合う楽しさや、異なる意見を持つ仲間と協働する経験を積んで、高校の探究につなげていきます」(根本先生)。

 学期末ごとに活動の成果を発表する場が設けられ、さらに1月末には全校あげての「探究フェスティバル」が実施されます。グループや個人での探究の成果を、全員が発表し合う場です。さらに、各学年の代表作品は「教育と探求社」が主催する探究学習の全国大会「クエストカップ」にも応募します。2023年度には「教員の働き方改革」をテーマに掲げた中2のチームがクエストカップ2024全国大会本選に出場し、教員も生徒も働き方や学び方を選択できる新しい学校の仕組みを提案して高い評価を得ることができました。今後も、3学期の「探究フェスティバル」と同時に、クエストカップ出場や入賞を目指して取り組みを進めていきます。

「社会を知り、自分を知る」高校の探究活動

 高校の探究は、中学で積み上げた土台の上に自分自身の興味や進路を重ねていきます。
 高校の探究を担当する土屋久美先生が掲げるキーワードは、「社会を知る、自分を知る」です。

昭和学院_高校の探究活動を担当する土屋久美先生
高校の探究活動を担当する土屋久美先生

 高1は、自分の興味・関心を掘り下げながら、桜美林大学のキャリア支援プロジェクト「探究入門 ディスカバ!」を活用した探究を実施しています。教育、健康、インターネットなどのテーマに分かれ、「ディズニーの新商品を提案しよう」「これからの教育の理想像とは?」といった専門家のミッションにグループで取り組みます。問いを立てて情報収集や分析をしたうえで提案するという探究の基本的な手法を学びます。

 小学校教員を目指している高2のS.Kさんは、「教育」分野を選択し、新たな発見があったと言います。「自分一人では思いつかなかった視点をたくさん得ることができました。他の人の意見を聞くことで、新しい課題に気づくことができたのです」。それは「教育機会の格差」という問題でした。

昭和学院_探究フェスティバルは発表スタイルも多彩
探究フェスティバルは発表スタイルも多彩

「教育について調べたりグループで話し合う中で、家庭環境などによって教育を受ける機会に差があることを知り、私たちのグループは『教育を誰もが平等に受けられる社会』をテーマに探究しました。この探究を機に、私自身も将来教師になった時に、そうした子どもたちとどう向き合えばいいのか、どんな授業をすればいいのかを考えるようになりました」。(S.Kさん)。

 探究の授業に加えて高2からはGAコースで「マイゼミ」がスタートします。人文社会、生命科学、医療福祉、スポーツ科学、芸術創造、商品開発、調理・栄養など14〜15のゼミが開講され、生徒は自分の興味に合わせて選択します。マイゼミは教室の中だけで完結するのでなく、校外にも積極的に足を運ぶのも特徴です。たとえば教育ゼミでは敷地内にある附属小学校や幼稚園を訪れ、授業見学や保育体験を実施し、他のゼミでは大学教員による講義や外部講師との交流も積極的に行われています。

他校参加も含め2000人が集う「探究フェスティバル」

 探究の集大成となるイベントが、毎年1月に開催される「探究フェスティバル」です。全校生徒約1700人に加え、昨年度は初めて近隣校や大学関係者も招いて実施し、来場者は2000人を超えました。
 最大の特徴の1つは、全員が発表すること。「クラスや学年内で発表し、そこで選抜された学年代表チームが全校生徒の前で発表する」という学校が多い中、昭和学院では敢えて全員発表にこだわっています。「1年かけて作り上げた探究の成果だから全員に発表する、視聴する機会があるべき。全員参加にすることで"自分ごと"になるので、意識も緊張感も高まります」(土屋先生)。

 そしてもう1つの特徴は、生徒主体で運営されていること。会場設営、広報活動、参加校との連絡調整まで、実行委員が中心となって準備を進めます。昨年度の実行委員は中1から高2までの有志24人でした。

昭和学院_昨年度探究フェスティバル実行委員のT.Kさん
昨年度探究フェスティバル実行委員のT.Kさん

 実行委員の1人である中2のT.Kさんは、「全生徒が発表するだけでなく、他校生も100名ほど発表してくれたので、掲示するポスターは膨大な数に上りました。パネルの数を算出してメインアリーナ(体育館)にどう配置するか、図面上に色分けして書き込みながら皆で計画を練りました。後から『もう1枚増やしたい』という要望が出て慌てたことも(笑)。実行委員だけでは搬入できないので運動部の生徒にも協力を依頼するなど、いろいろな生徒と連携するのにも苦労しました」と振り返ります。

 他校に参加を募ったのは初の試みでしたが、招待状の文面を考えて郵送したり、電話やメールのやり取りも生徒たちが担当しました。その結果、千葉県だけでなく東京都の学校も含めて10校以上が参加してくれました。
「これからもずっと探究フェスティバルに中心的に関わっていきたいと思い、実行委員に立候補しました。密度の濃い活動で苦労も多かったけれど、そのぶん達成感は大きかったです。いろいろな学年の先輩と仲良くなれて楽しかったので、今年度も立候補するつもりです。探究の発表は緊張しましたが、実際にやってみて自信がつきました」とT.Kさんは話します。視覚障害者支援アプリについて発表後、質疑応答では想定外の質問もありましたが、調べてきた内容をもとに自分の言葉で答えることができたことも、自信につながったようです。

昭和学院_高校生の実行委員の1人であるS.Kさん
高校生の実行委員の1人であるS.Kさん

 実行委員として活躍した高2のS.Kさんは、「さまざまな学年の生徒と協力できたことは大きな収穫でした。その後も自然と挨拶を交わすようになり、学年を超えたつながりができたことがうれしかったです。来場した大学の先生や他校の生徒と話す機会もあり、自分たちにはなかった視点や考え方を知ることができました」と笑顔で話します。

 当日は大学教員や研究者をコメンテーターとして招待し、生徒の発表に専門的な見地からの意見をもらいました。他校の発表を見て刺激を受ける生徒も多く、また、他校からは「来年はわが校も発表したい」という声も寄せられており、探究の輪はどんどん広がりを見せています。

探究が切り拓く未来への力

 中学では自由な発想を大切にしながら探究の基礎を学び、高校では社会との接点を持ちながら専門性を深め、その成果を探究フェスティバルという大舞台で発信することで、生徒は社会に出てから必要な多彩な力を育みます。
 こうして探究活動で得た知識と経験は、キャリアを考えたり進路を選択する際にも役に立っています。ゼミでの学びや体験を通して「この道に進みたい」と考えたり、逆に「この仕事に就きたいと思ったが、考えていた内容と違うと気づいた」というケースもあります。
 また、大学の総合型選抜入試でゼミや探究の活動をアピールできるのも強みになっており、実際に総合型選抜での大学合格者も確実に増えています。「何を学びたいのか」「なぜその進路を選ぶのか」を自分の確かな体験を元に言葉で説明できるからです。

 課題を発見し、仲間と協働しながら解決策を考え、自分の言葉で発信する――。昭和学院の探究学習は、単なる調べ学習ではありません。変化の激しい時代を生きるために必要な力を、6年間かけて育てる学びなのです。

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