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学校特集

二松学舎大学附属柏中学校・高等学校2026

子どもたちの目を輝かせたい!
その思いはどこにも負けない

掲載日:2026年9月1日(火)

 昨今、多くの中高一貫校が探究学習に力を入れていますが、二松学舎大学附属柏(通称:二松柏)ほど探究学習が学校生活に溶け込んでいる学校はないと言っても過言ではありません。広大なキャンパスの周辺には、手賀沼をはじめ豊かな自然や、地元の方々が受け継いできた文化があり、先生方は教科の枠にとらわれることなくアンテナを張り、探究の種を蒔いています。
 そのエネルギーの源は、「生徒一人ひとりの目を輝かせたい」という思いです。公・民・学が連携しながら街づくりを進めている「柏の葉スマートシティ」とも連携を深めており、中学校のパンフレットにある「探究の森で未来の種を育もう」というキャッチフレーズそのままに、探究は同校の教育の揺るぎない軸として根づいています。
 中1から始まるオリジナリティあふれる二松柏の探究活動を牽引する、グローバル探究室長の森寿直先生と、中学校学年主任の坂井曜児先生に、お話を伺いました。

主軸の探究活動が第2ステージへ

 同校の特色は、人間力の育成を土台に、生徒一人ひとりが自身の探究力を養うことにより、自学自習できる力を身につける一貫した教育にあります。「沼の教室」(手賀沼の環境と歴史を学ぶ/田植え・稲刈り)、「古都の教室」(京都・奈良研修旅行)、「自問自答」 (探究のプロセスを学ぶ/論文)が3本柱ですが、今年度の中1から、「沼の教室」と「自問自答」 に重きを置く枠組みとし、呼称も「手賀沼地域探究」と「自問自答探究」としました。

二松学舎柏_グローバル探究室長 森寿直先生
グローバル探究室長 森寿直先生

森先生:探究には「問い」→「課題設定」→「評価」→「まとめ」のサイクルがあります。1サイクルを経て知ったことにより、新しい問いが生まれます。その問いから始まる、2サイクル目を回すことで、さらに学びが深まります。その体験をしてもらうために、「手賀沼地域探究」と「自問自答探究」にじっくり取り組める枠組みにしました。発表の準備にも時間をかけられるようになりました。どう見せるか、どう伝えるかを考え、身振り手振りも含めて練習し、スキルを上げていきたいと考えています。

「探究活動をよりダイナミックに」と考えた背景には、あるプロジェクトがありました。

森先生:それは、この地域の民族や昔話を調べるプロジェクトです。『風早唱歌』という歌を見つけて調べていくと、いわゆるト音記号、へ音記号の楽譜ではない、相当古い楽譜みたいなものが出てきました。それを生徒たちが今の楽譜に置き換え、当時の校歌を蘇らせました。その歌詞をたどると、当時の沼南地域の風景が読み取れます。我々が探究を始める前はそんなことを知る由もなかったのですが、子どもたちが浮き上がらせてくれました。
 一通りの探究を終えた後、 「次はもう少し違うところに行ってやってみたい」などの声が上がったにもかかわらず、京都、奈良研修旅行が控えていて、終わりにしなければいけなかったことから、さらに深める(2サイクル目に取り組む)時間を作ることにしました。

 そのプロジェクトを牽引したのが、5年前に高校から中学の担当になった坂井先生です。

森先生:坂井先生はクリエイティブというか、新しいことに挑戦するのが大好きで、昨年、中1の学年主任になると、これまで私がやってきたものだけでなく、学年の先生方を巻き込んで新しいことを始めてくれました。

二松学舎柏中学校学年主任 坂井曜児先生_
中学校学年主任 坂井曜児先生

坂井先生:中学に移った最初の年に、(同校の探究活動を牽引する)森先生が主任を務める学年の担任になりました。初めて中1を受け持ち、「沼の教室」を自分が勉強する中で、こんなこともできそうだな、というものが出てきました。私は国語科の教員ですが、生き物が大好きです。特に淡水の熱帯魚が好きで、趣味でアクアリウムをやっています。昨年、中1の学年主任になったことを機に、自分が主任の立場になったらこうしようと思っていたことを実行に移しました。

 地域の人たちとつながりたいという思いをもって活動している森先生にならい、坂井先生も手賀沼周辺でアプローチしたい団体をいくつか見つけると、自らさまざまな場所に足を運んで交流を深め、生徒と一緒にできることを模索しています。

二松学舎柏_校内に設置された「モグリウム」
校内に設置された「モグリウム」

坂井先生:例えば、我孫子のガイドをしている高齢者の団体の方々に、白樺派の文学者たちが暮らしていたところなど、面白そうな場所を案内していただきました。これは全員参加で行いました。年代差のある方々との交流は、生徒にとって貴重な機会でした。ガイドの方々からも、中学生と関われたことへの喜びを伝えていただき、本当にやってよかったと思える行事になりました。
 それとは別になりますが、手賀沼に自生し、今は絶滅してしまった「ガシャモク」という水草を、復活させる活動をしている団体を通して、千葉県立中央博物館の研究員の方に授業をしていただき、ガシャモクの植えつけを行いました。異なる水草を3種類、それぞれ植木鉢に植えて、水槽の底に置き、たくさんの水を入れて、小さな沼のような状態をつくるのです。それを「モグリウム」というのですが、学内にそれを置いて、生態系の観察も一緒にできるような形で水草を育てています。植えつけた頃は2、3本だった水草が、今では水槽の中を覆うぐらい増えています。いずれはその水草を手賀沼に戻すということを目標に活動に取り組んでいます。

生徒の心を揺さぶる先生のわくわく感

 二松柏の探究学習は、先生方が興味関心のあるテーマを持ち込み、テーマに関連する複数の観点で班を作り、クラスに関係なく生徒を募って活動する、大学のゼミのようなスタイルで行っています。

二松学舎柏_「風早唱歌」を題材とした探究活動
「風早唱歌」を題材とした探究活動

坂井先生:自由にできるというのは、やっていて楽しいです。先生方が楽しんでいるので、生徒も乗ってきてくれます。先ほどの『風早唱歌』など、地域の歴史を担当したのも英語科の教員です。本来の教科とは違うのですが、一緒に調べて、興味関心を持ってくれて、手賀沼周辺をランニングしている最中に見つけた石碑をきっかけに、生徒が活動できるものに落とし込んでくれました。

 音楽的な側面からアプローチする班だけでなく、文学的なアプローチをする班も立ち上がり、白樺派の文豪たちはどのような活動をしていたのか。作品が載っていた場所は今どうなっているのかなど、調査を中心に探究学習を進めました。

森先生:生徒にわくわくするものを見つけてもらいたいので、中1からたくさんの種を蒔いて、たくさんのことと出会う機会を作っていきたいと思っています。

 教室の学びにとどまらず、国内外を問わず外に出て、本物と出会わせることに力を入れているのも、そうした思いがあるからです。

森先生:十人十色ですから、全員にハマるということは当然ありません。100通りのスイッチのあり方があるので、我々としてはたくさんの方に声をかけ、たくさんのところに連れて行って、たくさんの方と出会い、いろいろなことをさせる中で、「ちょっとこれ面白そうだな」というものを1つ見つけてくれればいいと思っています。あとは自分で走り出すからです。

 取材当日も「放課後にランニングをしながら、生徒たちを手賀沼に連れて行く」と話す森先生。その最中に生徒が何かを見つけたら、一緒に採取して顕微鏡でのぞいてみるなど、生徒がやりたいということに対して、できる限り向き合うことを信条としています。

森先生:昔は友だちと公園で遊んだり、生き物を持ち寄ったりしていましたよね。私が小さい頃は林の中で葉っぱを見つけては顕微鏡でのぞいたり、基地を作ったりする中で、自然と関わる術というか、観察する力が自然と身につきました。友だちとのコミュニケーションも、そこで身についたものですが、今は公園でボール投げすらできません。野球をするにも、野球場を借りなければいけない今、学校が保護者の方に代わり、いろいろなところへ連れて行き、たくさんのものに触れさせることが大事だと思っています。

近未来都市で広がる教育の可能性

 近年、柏市の「柏の葉スマートシティ」にもよく足を運んで、交流を深めています。

二松学舎柏_ラグビースクールジャパンとの交流風景
ラグビースクールジャパンとの交流風景

森先生:機会があればいろいろな会合に足を運び、生徒たちに新たな出会いを提供できるか模索しています。その成果の一つが「ラグビースクールジャパン」との交流です。世界でも注目されるイギリスの名門校が柏市内にできると聞き、すぐに私の思いを伝えました。昨年は、本校に先生方と生徒さんが来てくださり、東京大学の折り紙サークル出身で、折り紙作家として活躍している卒業生を呼び、英語による日本文化体験を行ないました。

 今年度は、9月にららぽーと柏の葉で行われる「東大フェア」に中学生が参加します。

二松学舎柏_柏の葉イノベーションフェス
柏の葉イノベーションフェス

森先生:昨年は「柏の葉イノベーションフェス」という新しいイベントに参加しました。三井不動産が中心となって開催したもので、東京大学、産総研(産業技術総合研究所)、千葉大学などと一緒に、本校の生徒(当時中3、高1・2)もポスターセッションをさせていただきました。「南極に花畑を作るためには」というテーマで探究活動を行い、その成果を発表すると、東京大学の先生が注目してくださり、クロージングスピーチの時に「私は今日、本当に素敵な探究と出会いました。女子生徒が南極で植物栽培ができれば、それが発展して、宇宙でも植物栽培ができるかもしれないという期待をもち、家の冷蔵庫とベランダという、自分の手の届く範囲の実験環境を活用しながら、壮大な研究に取り組んでいました。その姿に心を打たれた1日でした」と賛辞を送ってくれました。そして、東京大学にお招きいただき、今年の8月にその生徒を含む3名が東大柏キャンパスへの訪問を予定しています。

 その探究活動は、中3の時に「自問自答」という卒業研究として始めたもので、今年で3年目になります。

森先生:その生徒は今、高2ですが、そういうこともすごく自信になると思いますし、さらなる意欲につながると思います。勉強も熱心にやっているので、どういう進路を選ぶのか、たいへん楽しみです。

 貴重な体験の場として大切にしてきた「田んぼの教室」も、「柏の葉スマートシティ」によって生まれ変わります。

二松学舎柏_田んぼの教室
田んぼの教室

森先生:ずっとお世話になっていた田んぼの持ち主の方が高齢になり、数年前から他の田んぼを探していました。そんな中、千葉大学の米づくりに関する記事と出会いました。千葉銀行や太陽光パネル会社などの5社が関わり、田んぼの上に太陽光パネルを置くことで、昨今、日に当たりすぎてダメになる稲を守りながら、エネルギー開発も同時に行う日本初の試みについて新聞1面に書かれていました。私がやろうとしていることや、やっていることはすべて他の先生方にも共有していますので、「こんな記事があった」と、教員が教えてくれたのです。その田んぼは千葉大学柏の葉キャンパスにあり、すぐに連絡させていただきました。来年からはその田んぼで、生徒たちが田植えと稲刈りをする予定です。また、このキャンパスでは、同時に世界発の飲むワクチン「ムコライス」の研究や低重力栽培の研究も行っており、それらの見学を含むキャンパスツアーも実現しそうです。

二松学舎柏_カナダ留学
カナダ留学

 カナダ留学(中2・中3/希望参加)で訪れるバンクーバーは、ビルにもSDGsを取り入れるような先進的な都市ですが、一方で広大なスタンレーパークもあり、自然と都市が共存するスマートシティです。「柏の葉」でも同じような取り組みを行っていますので、今後はバンクーバーと柏の葉の比較も探究活動に取り入れ、人間が開発した未来都市のような題材と、手賀沼のように古くからある自然としての題材の両方を実践したいと思っています。

生徒たちの目をキラキラと輝かせたい

 例年のことですが、森先生は出口にあたる大学進学実績に触れません。同校の探究活動は着々と成果をあげており、自学自習する力が身について、いわゆる難関大学に合格する生徒は年々増えていますが、進路はあくまでも結果であり、その過程を充実させることのほうが大事だと考えているからです。

森先生:本校で頑張った生徒たちは、どこへ行っても幸せに過ごせると思っています。人生100年を考えたら、好きなことに没頭したり、知ることを楽しめたり、本物を見て感動したり...。心が揺さぶられるような豊かさと出会えた子は、どこへ行こうとも、学び続ける、あるいは学び直すことがいくらでもできるはずです。そのため、私はどの大学に入ったかよりも、その子が入学時から伸びた過程を大切にしています。例えば、入学当初からあまり自分の話をしてくれなかった生徒が、中3の頃には目をキラキラさせながら、担当教員に探究で調査した出来事を伝えていました。そういう時はすごく嬉しい気持ちになります。6年後にその子の最大限の成長を保護者の方々に届けたいということは、常日頃から思っていることです。我が子が最大限の成長を遂げたら、おそらく保護者の方もわかると思いますし、それが一番嬉しいことではないかと思います。

 そうしたアプローチができるのも、「二松学舎の舎風が大きい」と森先生は言います。

森先生:本校は二松学舎大学の附属校ですが、実際には二松学舎大学への進学者は少数派です。それでも、好きなことを好きなだけやればいい。好きなことに好きなだけ取り組ませてくれるというような、懐の大きさみたいなものは、夏目漱石や嘉納治五郎、犬養毅らが学び、渋沢栄一、吉田茂が舎長を務めた二松学舎の舎風であり、本校の土壌にもあると感じています。

坂井先生:本当に柔軟な学校です。その柔軟さが、本校の良いところだと思いますし、入学してもらえれば、楽しいと思ってもらえることは間違いありません。森先生のおっしゃる通り、教員一人ひとりが生徒たちの目を輝かせたいといつも思っています。様々な出会いの中で、一生ものの出会いがある学校だと思いますので、何かをやりたいけれども、まだ見つからない子、何をしてよいかわからない子は、ぜひ一度、来校していただき、本校の雰囲気を感じていただければと思います。

 二松学舎は来年創立150周年を迎えます。中学校をもつ唯一の附属校として、中学3年間に力を入れるオリジナリティあふれる探究活動や、先生方が生徒の目線で寄り添う環境は大きな魅力です。高校では、高校から入学した生徒たちと合流しますが、グループワークなどチームでの活動で自分の役割を一早く見つけて貢献するのは一貫生と言います。自分だけの問いに出会い、6年間かけて深めた先の景色はどう変わるのか。大いに期待が膨らみます。

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