学校特集
共立女子第二中学校高等学校2026
“自分軸”を育てる学校
2027年度入試改革へ
掲載日:2026年8月10日(月)
女子教育の伝統校である共立女子第二中学校高等学校。「自然が教科書」という、22万㎡の緑豊かな環境の中で、生徒たちは伸び伸びとした学校生活を送っています。創立以来受け継がれてきた、建学の精神「女性の自立と自活」、そして「誠実・勤勉・友愛」という校訓に基づき、学校行事や生徒会活動などさまざまな取り組みを通して、自分軸を持ちながら他者と協働していく「セルフリーダーシップ」の育成に努めています。生徒主体の白亜祭(文化祭)や体育大会、そして生徒会活動で「セルフリーダーシップ」はどのように発揮されているのか。各実行委員会をサポートする生徒部の吉川友悟先生と吉利勲先生にお話を伺いました。
白いキャンバスに生徒一人ひとりの物語を描く白亜祭
■競合企画はオーディションを行い生徒の投票で決定
同校が教育方針とする「セルフリーダーシップ」の育成とは、生徒一人ひとりが自分の持ち味を生かし、自らの人生の主人公として生きる力を育むこと。時代に流されず、「自ら発信できる女性」「他者を尊重し、理解できる」女性へ成長していくために、もっとも「セルフリーダーシップ」が発揮される場所が、学校行事です。
創立以来、学校全体が最も盛り上がる伝統行事といえば、毎年9月に2日間にわたって開催される白亜祭です。生徒会役員会と白亜祭実行委員会が主体となり、テーマ設定から学校との交渉、運営まですべて生徒たちの手で作り上げています。中1から高2まで全クラスが出展する多種多様なクラス企画、クラブ・パフォーマンス、飲食店(模擬店)など大掛かりなものに。生徒たちはこの大イベントを成功させるため、半年以上前から準備をスタートさせています。
前年度の3月に「パートリーダー」(通称「パトリ」)と呼ばれる、実行委員の中核となるメンバーの募集を行い、毎年6月に、生徒会役員会主催で高1・高2のクラス企画を対象にした「白亜祭オーディション・中間報告会」を実施して、白亜祭当日の出し物を決定しています。
「オーディション」については少し、説明が必要でしょう。以前は、先生方がクラス企画の内容が重ならないように交通整理するのが慣例でした。4年前に同実行委員会のサポート役になった吉川先生が、「企画が似ていても、個性で差を出せば調整なんてしなくてもよいのでは?」と敢えて調整をしなかったところ、お化け屋敷のクラス企画が7つも競合することに! 「さすがに偏りすぎた」と生徒たちから反省の声が上がり、翌年、クラス企画をプレゼンする「白亜祭オーディション・中間報告会」を実施することになりました。まず、企画のカテゴリーごとに枠数を定め、エントリーが枠数を超えた場合はオーディションを行う。そして、オーディション当日は、当該学年以外の生徒が学習用デバイスを使って投票し、翌日に結果が発表されます。
吉川先生:「何よりも、反省→話し合い→解決案の提示(ルール作成)という一連の流れを、生徒たちが自ら決定していったことが重要だと思います。それまでは、とりあえずエントリー優先で中身のない企画書も散見されたのですが、オーディション開始以来、例えば、模擬店で何をいくらで売るか、利益率の数字も添えた企画書が出てくるなど、企画内容の質を上げることに繋がっていきました」
体育大会実行委員会をサポートしている吉利先生も、「1回、無制限にしたことが幸いしたのですね。自分たちだけが楽しめばいいのではなく、来場者の立場になって考える発想を持てたこと。その意識変革が大切だと思います」と、プロセスを評価します。
「白亜祭2026」のテーマは「color our story」。「真っ白なキャンバスに、生徒一人ひとりの個性が色となって、一つの物語を描く」という願いを込めたネーミングです。今年も、2枠限定のカテゴリーに5つのエントリーがあり、熾烈な選抜オーディションになったそう。9月12日(土)・13日(日)に開催される白亜祭では、どのような物語が描かれるのでしょうか。
■「セルフリーダーシップ」を発揮する「パトリ」、「成功より成長」をモットーに
白亜祭実行委員会は、プロデューサー役を担うパトリと、実務を担当する実行委員で構成されていることも大きな特徴です。パートは「オープニングパーティーパート」「装飾パート」「受付パート」「お楽しみ企画パート」など8つ程度に分かれ、パトリを中心に企画の立案・計画・運営をしていきます。
吉川先生:「パトリの役割はそれぞれ異なります。パーティーの司会など表舞台に立つパートもあれば、一度も表に出ない『裏支え』のパートもあります。生徒たちも、表に出るのが好きなタイプ、奉仕が好きなタイプ、黙々と仕事をこなすタイプなどいろいろで、各自が得意な分野で役割分担しようと、自ら手を挙げて集まってきます」
生徒たちが「自分らしさ」や「自分の強み」を発揮して、他者と協働しながら「なりたい自分」を実現していく「パトリ」は、まさに同校が理想とする「セルフリーダーシップ」が発揮される場所。そのなかで、失敗も達成感も味わいながら、生徒たちは日々成長していきます。
吉川先生:「今年はどんな生徒が手を挙げるのだろうと、毎回、楽しみなのです。大人の教員が加われば、もっと早くもっと上手くやれる場面はあると思うのですが、それでは生徒の成長は得られない。生徒が主体となる行事において、"成功より成長"をモットーに、生徒の領域を少しでも担保してあげたいと考えています」
時間をかけながら、対話で前に進めていく体育大会
■初めて掲げた体育大会のテーマは、「Beyond Our Limits〜美しく、泥くさく〜」
白亜祭が終わるとすぐに、生徒たちは体育大会の準備に入ります。3年前に当時の高2が学校側に直談判して初めて体育大会実行委員会が発足し、それまで教員主導だった体育大会の運営に生徒も携わるようになりました。
今年は、体育大会初のスローガン「Beyond Our Limits〜美しく、泥くさく〜」が掲げられました。「白亜祭のようにテーマを掲げることで、全校一丸となる空気を醸成したいと、生徒たちが考案して決めた言葉です」と、同実行委員会をサポートする吉利先生。
白亜祭実行委員会との違いは、学年ごとに自分たちで出場種目を考えて決めるスタイルであること。各学年の実行委員が新種目のアイディアを秋に委員会内でプレゼンし、冬休み明けに実行委員全員で「お試し」をして、それぞれの種目を安全性、公平性、エンタメ性の観点からより良いものへと練り上げていきます。
吉利先生:「生徒たちに当事者意識を持って大会に参加してもらおうと、翌年に参加したい競技を自分たちで考えるシステムにしています。細かいところまでみんなで知恵を出し合って、入念に準備をするので、とても手間暇がかかります。問題点が発見されると、その都度、放課後に委員会のメンバーに緊急招集をかけて話し合いを積み重ねていきます」
昨年、生徒発案で初めて採用された「騎馬戦」は、大変な盛り上がりで新たな名物となりつつあります。ただし、「競技時間が長すぎる」という反省が残りました。そこで今年の同実行委員会は、戦い方のルールを変えるなどさまざまな時間短縮のアイディアを考えて実施しました。発足4年目。運営体制もまだまだ課題はありますが、生徒が自主裁量で行う場面も確実に広がっています。「いろいろな課題が次から次へと出てくるので、毎年ハラハラしながら胃が痛くなる思いでサポートしています」と、吉利先生。
吉利先生:「それでも、『何かをやってみたい』という気持ちは、誰かが外側から作ってあげられるものではないので、どれだけ突飛なアイディアでも、頭から否定せずに一旦受け止めて可能性を探りながら話し合う。その対話を惜しまず、時間と労力をかけることを心がけています」
■お互いの長所を生かして、補い合う
体育大会では、どのように「セルフリーダーシップ」が発揮されたのでしょうか。吉利先生は、同実行委員会三役のチームワークを挙げました。
今年の実行委員長、副委員長、書記の三役は、それぞれ得意分野が違う生徒たちでした。必ずしも先頭に立つタイプではないが、ブレない強さを持つ委員長、機転を効かせた行動力で周囲を引っ張っていく副委員長、冷静な状況判断ができる書記と、三者三様の個性ががっちりと噛み合ったチームでした。
吉利先生:「3人それぞれのよさがあり、互いに補いあって前に進めていくチームワークは、図らずも本校が目指す『セルフリーダーシップ』の在り方を体現していました。横で見ていても実に頼もしく、全幅の信頼を置いてサポートすることができました」
汗まみれになりながら、輝く笑顔で生徒一人ひとりが全力を出し尽くした「体育大会2026」は、まさに「Beyond Our Limits〜美しく、泥くさく〜」そのものでした。
「自分たちの学校は自分で作る」生徒主体の学校文化
■生徒が自ら動いて、学校を変えていく
同校の生徒会活動も非常に活発です。毎年、各候補者たちのポスターが貼られ、立会演説会でも堂々と論戦。毎回、決選投票まで行くほど白熱の選挙戦が展開されています。
「校内の飲み物やコンビニの自動販売機設置」「スラックスの制服導入」など、どれも過去の選挙戦で掲げられた公約を実現したものでした。生徒一人ひとりが、「自分たちの学校をよりよくしたい」「学校の主役は自分たち」という、意欲にあふれています。
自ら手を挙げて立候補する積極的な一面と、公約が有効なのか妥当性はあるのか、課題を見つける「試行期間」を設定し、生徒アンケートを行って是非を判断していく慎重さの両面を備えているのが、同校らしいところ。
吉川先生:「昨年の生徒会は1年間かけて、校則になかった『冬のダウンコート着用』という公約にチャンレンジしました。これもきちんとお試し期間を施行して学校とも交渉し、実はこの冬から校則が変わるのです」
一昨年の公約だった、校則「肩につく長さの髪の毛を結ぶこと」の見直しは試行期間を経て、新年度の生徒会が再び取り組んでいる課題です。「50年以上続いている本校の価値観のようなものなので、拙速に今の子どもたちの価値観だけに合わせるのではなく、さらに時間をかけて、異なる価値観とすりあわせていくことが不可欠です」と吉川先生。
吉利先生:「単なる勢いに任せて突っ走るのではなく、生徒たちはきちんと手順を踏んで、丁寧に柔軟に物事を進めていくやり方が身についています。それもまた、本校らしいところです」
吉川先生:「丁寧に、手堅く進めていく気風があるのは、本校の校訓である『誠実・勤勉・友愛』が根付いているからかもしれません」
■在校生による広報支援チーム「2KRT(にっくると)」が大活躍
昨年4月に発足した、在校生による広報チーム「2KRT(にっくると)」もまた、「学校生活の主役は自分たち」という意識の表れでしょう。「2KRT」の「2」は共立女子第二の二、「KRT」は共立の頭文字で、「共立女子第二に来るとよいことがあるよ」という意味と「にっこり」という意味が込められています。
学校生活のリアルを、自分自身の言葉で受験生に伝えたいと、生徒の発案で組織されました。中高のオープンキャンパスや説明会の企画・運営に加え、SNSの発信、来校者に配布するガイドブックの企画・編集・執筆も自分たちで行っています。ホームページでの発信や学校パンフレットの企画・編集も担当するなど、活動の場がますます広がっています。ここで養われる企画力や発信力、共感力も「セルフリーダーシップ」の体現であり、また、将来社会に出ても役立つ大きな財産となります。
吉川先生:「教科以外の学校行事や特別活動は、生徒たちが自主性や積極性を発揮できる領域です。その領域をいかに広くし自由を担保してあげられるか、どれだけ我慢強く見守ることができるかが、私たちが意識していることです」
歴史ある学校だからこそ、積み重ねてきた伝統のよさがあり、一方で、変わりゆく時代の価値観も見過ごしにはできません。そのバランスと向き合いながら、自分の考えを持って行動できること。それこそが、時代が変わっても必要とされる「自分の人生に責任を持つ力」であり、同校が育てる力なのです。
変化し続ける時代に敢えて継続する伝統校の学び
■一文字間違えたら最初からやり直し! 40年以上続く「書写」の時間
同校では、先進的なICT教育や自然環境を生かした多彩な「体験・実験」授業に取り組む一方で、豊かな人間性を育む独自の教育プログラムを用意しています。
その一つが、カリキュラムに組み込まれている「書写」の時間です。中学2年次には1学期間をかけて、古代中国の詩人・屈原が残した散文詩「楚辞」の一節である「漁夫辞」の清書にチャレンジしています。全211字から成る漢詩を、136cm×35cmの"半切"紙に一文字ずつ清書するのですが、マス目から自分で書き起こし、一文字でも間違えると最初からやり直さなければなりません。40年以上前から、変わらずに続いているプログラムです。
吉利先生:「AI全盛の時代に抗うようなアナログ感満載の授業ですが、情報過多で集中力を欠いてしまいがちな今の生徒たちにはとても有効な取り組みです。だからこそ、こうした授業も意図的に残しています。むしろ本校が昔から続けてきたこのような学びが、これからの時代により重要な意味を持っていくのではないでしょうか」
吉川先生:「手紙も書いたことがないような、一文字一文字に集中して文字を書く経験自体がない生徒もいます。LINEもすぐに返事をしないと揉め事になるような時代だからこそ、時間をかけてでも注意深く丁寧に物事を進めていく大切さを感じてほしいですね」
コスパ、タイパという言葉が巷に溢れるスピード重視、効率重視の時代にあって、「書写」だけでなく、「礼法」や「マナー教育」などよき女子教育を維持しているのも、伝統校ならではの魅力。広く社会に貢献できる自立心と同時に、豊かな感性と教養を兼ね備えた女性を育成しています。
中学の3年間、伝統的な女子教育として道徳の時間に小笠原流礼法による「礼法」の授業を設け、正しい礼儀作法や美しい所作をしっかり身につけていきます。高校では、「マナー講座」で社会生活での振る舞いを学ぶとともに、高2全員が「華道・茶道・装道」を学ぶ時間を「和躾(なごみ)の日」として設け、専門家の方を招いて「和」の作法を学びます。「食育」で食にまつわる知識を知ることも、自立した女性を育成する一環。こうした実学で得る学びは、座学による学力の学びとはまた別の経験値として、生徒たちの社会性を高めていきます。
■「セルフリーダーシップ」の土壌となる、「自分らしさ」を評価する入試改革
「学校の一丁目一番地は授業である」と語る佐藤聖一校長が着任して丸1年。「わかった・できた」を実感する授業を目指す佐藤校長は、「脳みそを使いすぎて汗をかくような授業」が理想。先生方の「授業研修会」を増やすなど、生徒たちが前のめりになるような授業改革も推進中です。
同校が大切にしているのは、生徒一人ひとりの個性を尊重し、その可能性を最大限に引き出すこと。そして、2027年度の中学入試改革に踏み切るのも、「セルフリーダーシップ」の土壌となる多様な個性を持つ受験生の、「自分らしさ」を評価する仕組みに改定することが狙いです。
行事や説明会などに足を運んで、都心にはない豊かな自然環境の中で育まれる「自分らしさ」や「セルフリーダーシップ」の源を体感してみませんか。
2027年度の中学入試は、受験生の個性を重視した入試制度に改革します。主な変更点は以下の通りです。
◆【第一志望優遇】 2月1日午前の受験生を第一志望の受験生とみなし、その後の受験回全てに10点加点する。
◆【得意2科目判定】 4科目受験生は、国・算の2科目に加え、「得点の高い上位2科目の換算点」でも合否判定。
◆【検定優遇】 英検(同等の資格を含む)・漢検・数検の取得者に対し、自分なりの学びをしてきた受験生を評価するため、それぞれ4級レベルで5%、3級レベルで10%、準2級レベル以上で15%の得点を加点する。
◆【奨学生選考】 4科・適性受験生の奨学生選考の基準を従来より緩和して75%(3年間奨学生)、70%(1年間奨学生)にする。時間をかけて地道な努力をしてきた受験生の努力を評価するため。
◆【入試日程を追加】 受験機会を広げるため、4科入試の回数を1日追加(適性型入試は継続)。
※入試改革の詳細は、学校ホームページでご確認ください。
