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学校特集

横浜翠陵中学・高等学校2026

社会とのつながりで、一人ひとりの可能性を広げる教育
答えを教えるのではなく、考える力と主体性を育む横浜翠陵の日々

掲載日:2026年9月11日(金)

「考えて行動できる人の育成」――。横浜翠陵中学・高等学校が掲げる建学の精神は、とてもシンプルな言葉です。しかし、その背景には、知識を身につけるだけでなく、自分自身や他者、そして社会と向き合い、自ら考え、行動できる人を育みたいという思いが込められています。
その理念のもと、同校では企業や大学との連携による探究学習や海外プログラム、生徒主体の学校行事など、多様な人や社会とつながる学びを展開しています。学校が答えを与えるのではなく、生徒自身が考え、選び、挑戦することを大切にしている点も、同校の教育の大きな特徴です。
今回は、校長の山本 伸先生に、横浜翠陵中学・高等学校が目指す教育のあり方や、さまざまな教育活動に込めた思いについて伺いました。

「笑顔」でいられる学校へ。
すべての教育の出発点

「考えて行動できる人の育成」という建学の精神を実現するために、横浜翠陵中学・高等学校が何より大切にしているのが、誰もが笑顔で過ごせる学校であることです。

横浜翠陵_校長の山本 伸先生
校長の山本 伸先生

 学校づくりについて伺うと、校長の山本 伸先生は少し照れくさそうに笑いながら話します。
「改革という言葉を使うほど特別なことをしてきたわけではありません。生徒も先生も保護者も、みんなが気持ちよく過ごせる学校でありたい。その思いを大切にしながら、一つひとつの取り組みを見直し、積み重ねてきた結果なのだと思っています」

 さらにこのように続けます。
「保護者のみなさんのいちばんの願いは、お子さんが笑顔で学校へ通ってくれることだと思います。私たちも同じです。まずは学校が安心して過ごせる場所であること。それが何より大切だと考えています」

横浜翠陵_考え、表現することを大切にした授業が展開されています
考え、表現することを大切にした授業が展開されています

 そうした安心できる環境があってこそ、生徒は自分自身や周囲と向き合い、考え、一歩を踏み出すことができます。山本先生は、建学の精神にある「考える」という言葉について教えてくれました。
「本校でいう『考える』とは、勉強のことだけではありません。自分のことを考える、人のことを考える、世の中のことを考える。そうした想像力を育てるために、学校行事やさまざまな教育プログラムを組み立てています」

 知識を身につけるだけではなく、自分自身や他者、社会と向き合い、自主的に行動できる人へ。その理念は、教室での授業だけでなく、学校生活のあらゆる場面に息づいています。

 同校では、答えを教えることよりも、生徒が主体的に挑戦し、自分らしい道を切り拓いていける学びを大切にしています。その教育観は、これからご紹介する企業や大学との連携、探究活動、生徒主体の学校行事など、あらゆる教育活動の土台となっています。

世界とつながることで、視野が広がる

 横浜翠陵の教育を語るうえで、欠かせないキーワードがあります。それが、同校が大切にしている「CONNECT(つながる)」という考え方です。

 企業や大学、地域、海外など、学校の外へと学びを広げ、多様な人や社会と出会う。その経験を通して視野を広げ、自分の可能性に気づいてほしい――。そんな思いが、同校の教育活動を貫いています。

「学校という場所は、どうしても閉じた環境になりがちです。だから、生徒たちにはできるだけ外の世界に触れてほしいと思っています」(以下、山本先生)

横浜翠陵_3月に実施される「翠陵グローバルプロジェクト」発表会の様子
3月に実施される「翠陵グローバルプロジェクト」発表会の様子

 その思いを象徴する取り組みの一つが、中学で3年間をかけて行う「翠陵グローバルプロジェクト」です。SDGsをはじめとする地球規模の課題をテーマに、ディスカッションやプレゼンテーションを行いながら、自分たちにできることを模索します。世界で起きている出来事を「遠い国の話」としてではなく、自分自身の暮らしや地域社会と結び付けて考えることで、多角的な視点や主体的に行動する姿勢を育んでいます。

 高校で実施している「翠陵クエスト」も、同校の代表的なプログラムです。生徒たちは企業や自治体から提示された課題に向き合い、調査やディスカッションを重ねつつ、自分たちなりの解決策を提案します。社会で起きている課題を自分ごととして捉え、多様な立場の人と関わりながら考え抜く経験は、教室だけでは得られない大きな学びとなっています。

横浜翠陵_昨年度の修学旅行では、初日は大阪を拠点にさまざまな社会的課題と向き合う探究ツアーをクラスごとに実施し、2日目からは中国・四国・関西・中部地方の4つのコースに分かれました
昨年度の修学旅行では、初日は大阪を拠点にさまざまな社会的課題と向き合う探究ツアーをクラスごとに実施し、2日目からは中国・四国・関西・中部地方の4つのコースに分かれました

 さらに特徴的な取り組みが、高2で実施する探究型の修学旅行です。一般的な修学旅行のように学校が旅程を決めるのではなく、生徒自身が旅行会社と打ち合わせや交渉を重ね、訪問先やプログラムを企画します。現地で何を学び、誰と出会い、どのような経験を積むのかまで自ら考え、複数のコースをつくり上げるこの取り組みは、まさに社会との「CONNECT」を体現した学びといえるでしょう。

 大学との連携においても、協定校の数を増やすことだけでなく、生徒が研究室を訪れたり、大学教員と直接対話したりできる「顔が見える連携」を重視しています。中1から高3までを対象に実施している「1day Campus(ワンデーキャンパス)」も、同校を代表するキャリア・高大連携学習プログラムです。
 毎年、30校近くの大学から教授や講師を招き、生徒たちは一日だけ大学生になったような感覚で、専門性の高い講義や体験型講座を受講します。高校までの学びとは異なる学問の世界に触れることで、自らの興味・関心を広げ、将来の進路や大学での学びを具体的にイメージする機会となっています。

横浜翠陵_多様な人々と触れ合いながら学びを深め、自分自身の将来を模索します
多様な人々と触れ合いながら学びを深め、自分自身の将来を模索します

 こうした取り組みを通して学校が目指しているのは、生徒に一つの進路を示すことではありません。 「生徒たちが『自分は何を学びたいのか』、『どんな生き方をしたいのか』を考えられるよう、できるだけ多くの選択肢や出会いを用意したいと思っています。そのうえで、自分自身で納得できる道を選んでいってほしいですね」

 企業、大学、地域、そして世界へ――。多様な人や社会とつながる経験を積み重ねることで、自分の知らなかった世界に出会い、自らの可能性を広げていく。それこそが、同校が「考えて行動できる人」を育てるための大切な基盤となっているのです。

「教師は前に出すぎない」。
生徒が主役になる学校

 企業や大学、地域とのつながりを生かした横浜翠陵の学び。その特徴は、多彩なプログラムそのものだけではありません。それらを支えているのが、生徒自身が考え、行動することを大切にする学校文化です。

 山本先生は、「翠陵クエスト」や「探究型修学旅行」など、生徒主体の活動における先生の役割について、次のように語ります。
「最初のきっかけづくりは教員側で行うこともありますが、動き始めたら、あまり前に出すぎないようにしています。この数年で、さまざまな活動を生徒主体へと切り替えてきました」

横浜翠陵_学校行事は楽しいだけでなく、成長の大きな機会です
学校行事は楽しいだけでなく、成長の大きな機会です

 文化祭や体育祭、球技大会、修学旅行など、さまざまな学校行事でも、生徒たちは役割を担い、自分たちで話し合いながらつくり上げていきます。
「一人でやれば簡単です。でも、みんなを巻き込まなければいけない。意見がぶつかることもあるし、思うように進まないこともあります。それでも話し合って、折り合いをつけながら一つのものをつくっていく。その経験そのものが学びなんです」(山本先生)

 実際、昨年度の体育祭では、実行委員長が思うように周囲をまとめられず、最後には仲間へ協力を呼びかけ、運営を進める場面もあったそうです。しかし、その試行錯誤を乗り越え、一つの行事をやり遂げた経験こそが、生徒たちにとって大きな成長につながりました。

 一方で、山本先生は「生徒主体」と「放任」は違うと話します。
「全部を任せるわけではありません。様子を見ながら、必要なときには少しだけ方向を整えることもあります。生徒数が比較的コンパクトだからこそ、一人ひとりをしっかり見ながら関われるのも、本校の良さだと思っています」

 答えを教えるのではなく、自分で判断し、仲間と対話し、ときには失敗もしながら前へ進む。その過程を見守ることこそが、先生の役割です。一歩引いた立場から生徒の挑戦を後押しし、自ら考え行動する力を育む環境づくりを大切にしている姿勢が伝わってきました。

一人ひとり違う花が咲く。
それぞれの歩みを信じて

横浜翠陵_運動部・文化部あわせて20以上の多彩な部活動があり、熱心に取り組んでいます
運動部・文化部あわせて20以上の多彩な部活動があり、熱心に取り組んでいます

 社会とのつながりを広げ、生徒が主体となって挑戦する機会を数多く設けている横浜翠陵。ただし、山本先生が目指しているのは、生徒全員を同じ方向へ導くことではありません。それぞれの異なる個性や興味を尊重し、自分らしく歩んでいけるよう支えていくこと。それもまた、「考えて行動できる人」を育てるうえで欠かせない考え方です。

 山本先生は、生徒や保護者との関わりのなかで近年感じているということを教えてくれました。
「保護者の方からは『うちの子は人前で話すのが苦手なんです』というご相談を受けることもあります。でも、それぞれ得意なことも違えば、成長の仕方も異なります。苦手を無理に克服させることだけが教育ではないと思っています」

 同校では、探究活動や学校行事、企業とのプロジェクトなど、さまざまな挑戦の機会を用意しながら、生徒が自分の得意なことや興味を見つけ、それを自信へとつなげていくことを重視しています。

横浜翠陵_生徒たちは緑豊かなキャンパスでのびのびと過ごしています
生徒たちは緑豊かなキャンパスでのびのびと過ごしています

 山本先生は、その思いを印象的な言葉で表現します。
「本校は、みんなが同じタイミングで花を咲かせる学校ではありません。立派な花である必要はありません。その子らしい花が咲いてくれればいい。いつ花開くかも、人それぞれです。だから私たちは期限を決めて、『この花を咲かせなさい』とは思っていません」

 山本先生のお話しからは、生徒を一つの型にはめるのではなく、それぞれの可能性を信じ、持ち味を伸ばしたいという思いが伝わってきました。同校では、「何ができるようになったか」だけではなく、「その子が自分らしく前へ進めているか」という視点を何より大切にしているのかもしれません。

日々の対話が、生徒の未来を育てる

 企業や大学との連携、生徒主体の学校行事、探究活動――。横浜翠陵には、生徒が安心して挑戦できる機会が数多く用意されています。しかし、その根底にあるのは、特別なプログラムだけではありません。生徒たちと日々向き合い、その成長に伴走し続ける、先生方の積み重ねがあります。

横浜翠陵_とある生徒の「チャレンジノート」。自分自身の成長を振り返られるものにもなっています
とある生徒の「チャレンジノート」。自分自身の成長を振り返られるものにもなっています

 その象徴ともいえるのが、同校で受け継がれてきた「チャレンジノート」です。もともとは先生と生徒が交換日記のように言葉を交わすことから始まり、現在では学習計画や日々の振り返りを書き込む手帳型へと発展しました。それでも、生徒が毎週担任に提出し、担任が各自にコメントを書いて返すというスタイルは、今も変わっていません。

 学習の振り返りだけでなく、その日の出来事や何気ない気持ちを書く生徒も少なくありません。先生方はそうした一つひとつの言葉に目を通し、小さな変化や頑張りを見逃さないよう丁寧に言葉を返しています。毎週続くそのやりとりは、生徒にとって励みとなるだけでなく、先生と生徒がお互いをより深く知るきっかけにもなっています。

 山本先生は、このノートについて穏やかな表情で語ります。
「本校の卒業生はもう8,000人近くになりますが、卒業生に会うと、チャレンジノートを書いていた頃のことを思い出すんです。『ああ、この子はこういう子だったな』って、まずはその子の文字を思い出しますね」

 毎週交わす手書きの言葉には、そのときどきの思いや成長の軌跡が刻まれています。だからこそ、何年たっても先生方の記憶に残り、一人ひとりと向き合ってきた時間を思い起こさせるのでしょう。

横浜翠陵_校長先生も自分を知ってくれている、身近な存在だと実感します
校長先生も自分を知ってくれている、身近な存在だと実感します

 そして、山本先生ご自身も、生徒たちとの対話をとても大切にしています。新入生全員と個別面談を行い、学校生活への期待や不安、興味のあることなど、それぞれの思いを聞くことから学校生活が始まります。
「校長だからといって遠い存在ではなく、生徒一人ひとりのことを知りたいんです。話をしてみると、その子らしさや考えていることがよくわかりますし、それが学校づくりにも生かされています」

 もちろん、生徒と向き合うのは校長先生だけではありません。年4回の面談をはじめ、担任や教科担当の先生も日頃から生徒とのコミュニケーションを重ね、生徒たちの歩みを見守っています。

 今回の取材を通して感じたのは、横浜翠陵中学・高等学校の教育は、特別なプログラムだけで成り立っているわけではないということです。日々の関わりをいかに大切にし、一人ひとりの可能性を信じながら、その成長に寄り添う。そんな教育があるからこそ、生徒たちは安心して挑戦し、自分らしい一歩を踏み出せるのではないでしょうか。

 ぜひ一度、横浜翠陵中学・高等学校を訪れ、生徒たちが仲間と学び合いながら自分らしく輝く、その空気を感じてみてください。

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