学校特集
サレジアン国際学園中学校高等学校2026
掲載日:2026年3月14日(土)
サレジアン国際学園中学校高等学校は、2022年の共学化を経た今、さらなる新たなステージへと歩みを進めています。
その象徴となるのが、2026年度に本格始動する新プログラム「MEDICO(メディコ)」と、2027年4月完成予定の新校舎です。学びの中身と環境の両面から改革を進める、これらふたつの取り組みは、「21世紀に活躍できる世界市民の育成」という同校の目標を、より確かなものにするための大きな挑戦でもあります。
今回は、本科クラスMEDICO担当の福田真平先生と、新校舎計画を統括する事務部長・宇多田信明さんに、それぞれの構想や思いについてお話を伺いました。
科学技術の進化に応える、新プログラム「MEDICO」始動
AI技術やバイオテクノロジー、半導体分野などをはじめ、科学技術は目覚ましい進化を遂げています。こうした社会の変化に対応できる人材を育成するため、サレジアン国際学園中学校高等学校では2026年度より新プログラム「MEDICO(メディコ)」をスタートさせます。
MEDICOが目指すものについて、プログラムを推進する福田真平先生は次のように語ります。
「MEDICOは、専門知識の習得にとどまらず、実践力までを育むプログラムとして構想しています。中1では、本校が全学年で重視しているPBL型授業を通して学びの土台を築きます。そのうえで、中2からは数学・理科を、高校では情報を加えた3教科を柱に、より専門性の高い学びへと発展させていきます」
MEDICOの大きな特長は、「実際に手を動かす」学びを重視している点です。実験手法や科学的な思考プロセスを、体験を通して身につけられるよう設計されています。
さらに、学外での学びも充実させていくと言います。
「MEDICOを担当するのは、主に博士課程を修了した教員です。研究室や教育機関、研究所との連携を活かし、大学での実験体験なども計画しています。そこで得た学びを学校へ持ち帰り、さらに発展させていく。学外と校内を往還しながら学びを深化させる、循環型の教育を目指しています」
分野を越えて考える力を育むMEDICOの学び
MEDICOのもうひとつの特長が、分野横断型の学びです。現代社会では、単一の学問領域だけでは解決できない複雑な課題が増えています。だからこそ、科学・技術・工学・数学などを横断する「STEAM教育」の視点が重要になります。
福田先生は、その具体例として「テントウムシ」を挙げます。
「例えば、テントウムシを1匹捕まえたとします。生物学的に分類するだけでなく、『なぜ飛べるのか』という物理学の視点や、『外敵に襲われたときに分泌される黄色い体液には、どのような化学物質が含まれているのか』といった化学の視点からも考えていきます。ひとつの生き物を多角的に捉えることで、学びはより立体的になります。将来的には、生き物に小型の電子装置を取り付けて動きを制御する、といったロボット工学の分野へと発展する可能性もあります」
福田先生は博士号を持ち、細胞培養等を専門とする研究者です。現在も大学で研究を継続しており、その経験の中で、ある課題を強く感じてきたといいます。
それは、「受験勉強を経て大学に入学したものの、目的を見失い、学びへの意欲を失ってしまう学生が少なくない」という現実です。
「小さい頃は、誰もが当たり前のように持っている探究心があります。その芽をMEDICOでは大切に育てていきたい。そして、自らの探究心を技術力やスキルへと昇華させ、大学進学後も主体的に学び続けられる生徒を育てたいと考えています」
研究を突き詰めていく過程では、専門知識だけでなく、多くの学びが付随します。研究倫理や論理的思考力、他者との協働や対話の姿勢。各自のテーマに真摯に向き合う中で、これらの力も自然と培われていきます。
MEDICOが目指すのは、単なる理系エリートの育成ではなく、探究を通じて人間としても成熟していく学びであるといえます。
進路を限定しない、"科学的思考力"の育成
卒業後の進路について、福田先生は次のように展望を語ります。
「医師や薬剤師、研究者、プログラマーといった理系職種を一つの進路モデルとして想定していますが、決してそれだけに限定するものではありません。今や文系の仕事であっても、プログラミングや生成AIなどのスキルが求められる時代です。新しい技術を自らアップデートし、最先端の科学知識を活用しながら、自分の興味のある職業に就いてほしいと願っています」
つまりMEDICOは、特定の進路へと導く"専門コース"でありながら、どの分野に進んでも活かせる「科学的思考力」と「探究する姿勢」を育むプログラムだといえるでしょう。
では、どのような生徒がMEDICOに向いているのでしょうか。福田先生は、ふたつのタイプを挙げます。
「ひとつは、将来、医師や研究者として社会に貢献したいという強い意志を持っている生徒です。"科学を通して社会の役に立ちたい"という思いがあれば、MEDICOの学びの中で自分の好きな分野を見つけられるはずです。
もうひとつは、知的好奇心が旺盛な生徒です。『雨が降ると、なぜ水は上から下に落ちるのだろう』といった素朴な疑問を持てる子は、きっとMEDICOの授業を楽しめると思います」
実際にMEDICOを希望している生徒の中には、「将来、こんな形で世の中に貢献したい」と具体的な目標を語る生徒もいると言います。MEDICOのプログラムは、すでに未来への第一歩を踏み出そうとする生徒たちの確かな受け皿となっています。
大学レベルの実験設備を備えた「ラボスペース」
MEDICOの学びを支えるもうひとつの大きな柱が、2027年4月に完成予定の新校舎です。なかでも、理系教育の充実を象徴するのが、専用の「サイエンスラボ」と「データサイエンス室」の設置です。その設備について、福田先生は次のように説明します。
「インキュベーター(細胞や微生物を培養する装置)やドラフトチャンバー(有害物質を扱う際に使用する安全装置)のほか、大学生が扱う基礎実習レベルの機材を揃える予定です。そのうえで、生徒一人ひとりの研究テーマに応じて、必要な設備をさらに充実させていきたいと考えています」
大学の研究室さながらの環境で、中高生が本格的な実験に取り組める――。これも同校の大きな特長といえるでしょう。
さらに、将来的な構想として、新校舎を活用した"学会開催"の可能性も視野に入れているといいます。
「広い発表スペースを活かして、学会のポスター発表を校内で実施できれば、生徒たちが現役の研究者から直接フィードバックをもらえる貴重な機会になります。研究者が来校し、生徒たちが自由に研究発表を見学できる。そんな環境を実現できたらと考えています」(福田先生)
通常、学会は大学で開催されるものです。それが中学・高校の校舎で行われるとすれば、先進的な取り組みといえるでしょう。生徒たちにとっては、日常の延長線上に"本物の研究の世界"があるという、極めて刺激的な学びの場となりそうです。
新校舎の設計思想――"余白"から始まる対話と探究
新校舎には、ラボスペースにとどまらない多くの魅力があります。事務部長の宇多田信明さんに、全体のコンセプトを伺いました。
「新校舎では、本校の特徴である『考え続ける力』や『PBL型学習』を実現できる環境づくりを第一に考えました。加えて、理系教育の充実、そしてインターナショナルクラスをはじめとする多様な背景を持つ生徒たちが交流し、世界とつながることのできる空間を目指しています」
地下1階・地上5階建ての新校舎には、普通教室、特別教室、体育館からなる3棟が配置され、現在の中学・高校の機能がすべて移転します。
新校舎の大きな特徴のひとつが、意図的に設けられた"余白"です。同校は考える力の向上を大切にしており、そのためには、思考を深めるための空間のゆとりが欠かせません。ぎちぎちに詰め込まれた環境からは、新しい発想は生まれにくい。だからこそ、立ち止まって考えたり、対話したりできる場所を意図的に設けたと言います。
教室と教室の間には広い「教室前ラウンジ」を配置し、廊下も通常よりゆとりのある設計としています。授業の合間や休み時間に、生徒が自然と集い、グループディスカッションを行ったり、発表内容を練り直したり、一人で思索を深めたりできる環境が整えられています。日常の風景そのものが、PBL型の思考力を伸ばす学びを支える舞台となるのです。
さらなる特長が、5階を中心とした分散型の図書スペースです。
「特別教室が各フロアに分かれているため、それぞれの教室の近くに関連書籍を配置し、必要な本がすぐ手に取れる環境を整えます」と宇多田さん。探究の過程で生まれた疑問に、その場で応えられる環境が用意されています。
発表の場も充実しています。PBL型学習の根底には、成果を他者に伝え、フィードバックを受けるプレゼンテーションのプロセスがあります。最大800名を収容できる体育館には可動式観覧席と大型スクリーンを備え、全校規模のプレゼンテーションが可能です。加えて、5階の図書ラウンジや、各階をつなぐ「テアトロ」と呼ばれる空間も発表スペースとして活用されます。規模や形式の異なる多様な発表空間を用意することで、生徒が日常的に発表に挑戦し、議論を重ねられる環境を整えています。
世界とつながる学びの拠点
新校舎では、最先端のICT環境も整備されます。特定の空間では、海外の姉妹校とのオンライン交流や、生徒の発表内容を世界に向けて発信することも可能になります。
「インターナショナルクラスをはじめ、多様な背景を持つ生徒たちが、1対1ではなく、複数人で同時にやり取りできる環境を実現したいと考えています」と宇多田さん。対話や協働を前提とした設計が、グローバルな学びを日常のものへと変えていくことが期待されます。
また、約400人を収容できるカフェスペースも設けられます。日常のコミュニケーションの場でありながら、発表スペースや食堂としても機能する多目的空間です。教員と生徒の距離が近く、研究相談から何気ない会話まで、自然な交流が生まれる場となります。
外観は、ガラスと金属を基調とした先進性を感じさせるデザインです。とりわけ中央の特別教室棟は全面ガラス張りとなり、オフィスビルや研究所を思わせる佇まいが印象的です。探究と創造の場にふさわしい、開かれた学びの象徴ともいえる存在です。
さらに、バリアフリーにも十分配慮されています。各フロアにエレベーターを設置し、体育館へは幅広い階段でアクセス可能。トイレも使いやすさに配慮した設計となっています。学校行事や説明会など、多くの来校者を想定し、外構にはゆとりある階段や動線を確保しています。
新校舎は単なる"新しい建物"ではありません。思考と対話、そして挑戦を後押しする、学びのプラットフォームといえそうです。
進化する学園、広がる可能性
サレジアン国際学園中学高等学校では、「本科クラス」と「インターナショナルクラス」というふたつの学びの軸を設けています。
本科クラスでは、PBL型授業やゼミナール型の個人研究などを通して、論理的思考力や探究力をじっくりと育みます。学年を越えた学びや発表活動も盛んで、生徒の主体性を高める教育が実践されています。
一方、インターナショナルクラスでは、革新的なバイリンガルカリキュラムを展開。日本人教師と外国人教師によるダブル担任制のもと、多様な視点から英語運用力やコミュニケーション力を養います。生徒たちは、グローバルな視野と実践力を着実に身につけています。
2027年4月、新校舎の完成とともに、サレジアン国際学園中学高等学校は新たな歴史を刻み始めます。最先端の施設と情熱あふれる教員のもとで、生徒たちは自らの探究心を存分に伸ばしていくことでしょう。「21世紀に活躍できる世界市民の育成」という目標のもと、その学びは生涯の財産となり、やがて社会に貢献する力へと育っていくはずです。
ぜひ一度、同校を訪れ、未来へ向かう学びの進化を体感してみてください。
