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学校特集

明法中学・高等学校2026

「共学化」で進化する明法。一人ひとりの個性を輝かせる教育とは

掲載日:2026年9月1日(火)

東京都東村山市に広がる、緑豊かなキャンパスが印象的な明法中学・高等学校。2019年度の高校共学化に続き、2025年度には中学校も共学化がスタートした同校は、現在大きな変革の真っただ中にあります。 今回、2023 年より校長に就任した岡田貴之先生に学校づくりへの思いや教育方針についてお話を伺いました。その中で、岡田先生が何度も口にしていたのが、「一人ひとりの個性を大切にしたい」という言葉です。多様な価値観を認め合い、自ら考え、仲間と協働しながら未来を切り拓いていく力を育むこと。その理念は、学習カリキュラムだけでなく、先生と生徒の日常の関わりにも息づいていました。 取材を通して見えてきたのは、共学化という新たな挑戦の中でも、人と人との温かなつながりを何よりも大切にする同校の姿でした。

生徒と共に奏でる校長先生

明法_校長の岡田貴之先生(写真中央)
校長の岡田貴之先生(写真中央)

 明法中学・高等学校の学校説明会に初めて訪れた受験生や保護者は、思わぬ光景に驚くかもしれません。
 開会前、吹奏楽部の演奏が始まると、その輪の中で一人、サックスを演奏する男性の姿があります。演奏が終わり、司会が「それでは学校長よりご挨拶いたします」と紹介すると、演奏していたその男性がマイクの前へ。
「あれ? いま演奏していた人が校長先生だったの!?」
 そんな驚きの声が、会場から聞こえてくることも少なくないそうです。

「それが結構うれしいんですよ(笑)。『校長先生って、もっと堅い人だと思っていました』なんて言われることもあります」
 そう笑う校長の岡田貴之先生ですが、サックスを始めたきっかけは、学校説明会の演出ではありませんでした。

 前任校で校長を務めていた頃は、新型コロナウイルスへの対応や臨時休校の判断など、次々と重要な決断を迫られる日々。
「頭の中を一度リセットしないと、自分がもたないと思ったんです。何かまったく新しいことを始めようと思って飛び込んだのが、サックスでした」
 数回レッスンを受けた後は、ほぼ独学で練習を続けてきたといいます。そんな岡田先生の演奏が大きく変わるきっかけとなったのが、明法中学・高等学校への着任でした。

明法_みんなで心を一つに揃え、楽器を奏でていきます
みんなで心を一つに揃え、楽器を奏でていきます

 同中学校には、3年間をかけて全員が一つの楽器を習得し、学年全員でオーケストラをつくり上げる「器楽」の授業があります。こうしたことから音楽や芸術への造詣が深いことが明法の特徴の一つです。

 就任後のある日、吹奏楽部の生徒から「校長先生、一緒に吹きましょうよ」と誘われた岡田先生。恐る恐る練習に参加すると、待っていたのは思いがけない光景でした。
「『先生、そこはこう指を動かすんですよ』、 『本番までにきっとできますよ』と、生徒たちが一生懸命教えてくれたんです。どちらが先生なのかわからないくらいでした(笑)」

 校長である岡田先生が、生徒から教わる。その時間は、演奏技術を磨くだけでなく、生徒たちの優しさや素直さに触れる時間でもあったと話します。
「同じ目線で一つの曲をつくり上げる経験を通して、生徒たちの温かさを実感しました。教えることだけが教師の役割ではありません。生徒から学ぶこともたくさんあるんです」

 現在では学校説明会だけでなく、学園祭などでも生徒たちと一緒に演奏する岡田先生。その姿には、 「教師」と「生徒」という立場を超え、共に学び、共に挑戦する明法らしさが表れていました。

 一人ひとりの個性を尊重し、お互いを認め合いながら成長していく――岡田先生が掲げる教育理念は、日々の先生と生徒の関わりの中で、ごく自然に実践されているのだと実感しました。

明法との「縁」が導いた新たな挑戦

明法_部活動も活発に行われています
部活動も活発に行われています

 岡田先生が明法中学・高等学校の校長に就任したのは2023年4月。それまで長年にわたり、攻玉社中学校・高等学校で教鞭を執り、教頭・校長を歴任してきました。

 新たな環境へ飛び込む決断の背景には、いくつもの「縁」が重なっていたと言います。一つは、岡田先生自身が東京都国分寺市の出身であること。子どもの頃から明法は身近な存在で、サッカーの強豪校としてその名をよく耳にしていたそうです。

 さらに、明法中学・高等学校が創立された1964 年は、岡田先生が生まれた年でもありました。 「50代後半になって、自分のこれからのキャリアを考えていたときに、『創立60周年という節目を迎える明法で、新しい学校づくりに力を貸してほしい』と声を掛けていただいたんです。地元への恩返しができることも大きかったですし、自分と同じ年に生まれた学校が、新しい時代へ歩み出す。その節目に携われることに、不思議な縁を感じました」

 何より心を動かされたのは、「まだ完成していない学校」だったことだと岡田先生は振り返ります。 「もちろん伝統はあります。でも、その一方で、これからもっと良くしていける余地がある。だからこそ、新しい挑戦ができると思いました」

 学校改革を進めるうえで、岡田先生が大切にしていることがあります。それは、「地域に開かれた学校」であることです。
 同校の講堂は1,000 人以上を収容できる規模を誇り、毎年、東村山市の「成人の集い」の会場として利用されています。選挙時には投票所となり、地域イべントでも活用されるなど、学校は地域に開かれた存在となっています。

明法_フィールドワークも豊富に行われており、生徒たちも学外へ出て積極的に学びを深めています
フィールドワークも豊富に行われており、生徒たちも学外へ出て積極的に学びを深めています

 現在は東村山市との包括連携協定の締結も進められており、今後は探究学習や地域課題の解決に向けたプロジェクトなど、行政と連携した教育活動もさらに充実していく予定です。「学校の中だけで教育が完結する時代ではありません。地域や社会とつながることで、生徒たちは多様な価値観に触れ、自分の役割について考えるようになります。そうした経験が、将来社会で活躍する力につながっていくと思っています」

 校内だけでは得られない学びを積み重ねながら、自分の視野を広げていく――。地域と共に学ぶ姿勢もまた、明法らしい教育を形づくる大切な要素なのだと感じました。

多様性を育む、共学という環境

明法_朝のHRの様子。気持ちよく1日をスタートします
朝のHRの様子。気持ちよく1日をスタートします

 かつては男子校だった同校も、2019年度に高校、そして2025年度には中学校で共学化がスタートしました。取材で校内を歩いていると、男女の生徒が自然に言葉を交わし、一緒に課題へ取り組む姿があちこちで見られます。

 学校では、共学化に合わせて教職員の採用も積極的に進め、この数年間で20 代を中心とした若手女性教員が大きく増えました。
「女子生徒にとって、年齢の近い女性の先生が身近にいることは、とても大きな安心感につながります。職員室にも若い先生たちの明るい声が増え、学校全体の雰囲気がより活気づきました」と岡田先生は話します。

「男子だから、女子だからではなく、一人ひとりが自分らしく学校生活を送れる環境をつくることが大切です。実際に、共学化が始まった今の中 1・中 2 は、男女の垣根がほとんどありません。異なる価値観を持った仲間と出会い、お互いを認め合いながら成長していく。それが共学のいちばんの価値だと思っています」

 インタビューを通して何度も感じたのは、岡田先生が「多様性」を特別なものではなく、日々の学校生活の中で育まれていくものとして捉えていることでした。互いの違いを受け入れ、相手を思いやり、 共に成長していく。その積み重ねこそが、同校が育てようとしている「他者に貢献できる人」の土台になっているのではないでしょうか。

一人の未来を、学校全体で支える

明法_「学習道場」の様子
「学習道場」の様子

 共学化を機に、生徒数だけでなく進学実績も大きく伸びている同校では、国公立大学やGMARCHへ合格者数は着実に増加し、難関大学への進学実績も年々向上しています。

 もちろん、生徒数が増えたことも理由の一つでしょう。しかし、岡田先生のお話を伺っていると、その背景には、一人ひとりを学校全体で支える文化があることがわかります。

「進路指導は、担任一人だけが担うものではありません」
 そう話す岡田先生のもとでは、学期ごとに学年所属の教員と教科担当者が情報を共有する場を設け、生徒一人ひとりの学習状況や意欲、適性を丁寧に共有しています。

 また、大学入試の多様化が進む中、同校では一般選抜だけでなく、総合型選抜や学校推薦型選抜にも力を入れています。そのために進めているのが、高等教育機関との連携です。現在は理系・医療系大学をはじめ、女子大学などとも連携し、高大連携プログラムや進路支援を展開しています。

 岡田先生が何より大切にしているのは、「その生徒がどんな人生を歩みたいのか」という視点です。近年は医療や保健分野に興味を持つ女子生徒も増えていることから、看護や理学療法、作業療法、救急医療など、専門資格につながる進路の選択肢も広がっています。
 大学との連携は、指定校推薦の枠を広げるだけではありません。大学の先生や学生と接し、自分の将来を具体的に思い描く機会を得られることも、大きな魅力の一つです。 「誰かと比べて進路を決めるのではなく、自分の可能性を信じて臨んでほしい。そのために、学校は安心して挑戦できる場所でありたいと思っています」

 自己肯定感を育み、一歩踏み出す勇気を支えること。それこそが、一人ひとりに寄り添う同校の進路指導なのだと感じました。

「本物」に触れることから始まる学び

 岡田先生への取材を通して、繰り返し語られていたのが、「本物に触れる」という考え方でした。「美術品や骨董品の目利きと呼ばれる人は、小さい頃から本物だけを見続けているから、偽物を見たときに違和感を覚えると言います。絶対音感も同じですよね。人間の感性の土台は、12歳から15 歳という中学生の時期に、どれだけ本物に触れたかで大きく変わると思っています」

明法_理科実験の機会も豊富に設けられています
理科実験の機会も豊富に設けられています

 その考え方は、同校の学びの随所に反映されています。理科では、物理・化学・生物・地学それぞれに専用の講義室と実験室を備え、2人1組で実験・観察に取り組みます。 一人ひとりが実際に手を動かし、ときには失敗もしながら、自分の目で確かめ、考え、答えを導き出していく。その積み重ねが、科学的な探究心や論理的思考力を育んでいきます。

 また、音楽教育も明法ならではの特色です。中学では全員が一つの楽器を選び、専用の音楽棟で、各楽器のエキスパートによる少人数レッスンを受けながら、3 年間かけて技術を磨いていきます。目標は、学年全員で一つのオーケストラを完成させること。自分のパートだけが上手でも、美しい演奏にはなりません。仲間の音に耳を傾け、互いに支え合いながら、一つの音楽をつくり上げていきます。

 理科実験も、器楽も、一見すると異なる教育のように思えます。しかし、取材を通して見えてきたのは、「知識を教えること」ではなく、「体験を通して人を育てること」という共通した教育の考え方でした。
 本物に触れ、自ら考え、仲間と協働し、最後までやり抜く。その経験の積み重ねこそが、創造性やコミュニケーション力、他者を思いやる心へとつながっていくのでしょう。

一人ひとりに向き合う少人数教育

明法_サイエンスGEの様子。学びが楽しくなる工夫が随所に凝らされています
サイエンスGEの様子。学びが楽しくなる工夫が随所に凝らされています

 こうした学びを可能にしているのが、少人数教育を生かした手厚い学習環境です。教員一人あたりが受け持つ生徒数は約13人と、少人数教育を実現。授業中はもちろん、放課後も一人ひとりの理解度や学習状況に合わせて、きめ細かなサポートが行われています。

 校内にはチューターが常駐する自習スペースが設けられ、夜まで落ち着いて学習できる環境も整っています。さらに、外部専門機関と連携した校内講座や、中学生向けの放課後学習支援も充実。
「塾へ行くこと」を前提とするのではなく、「学校でしっかり学びきる」ことを目指した環境づくりも、明法中学・高等学校ならではの特色です。

 インタビューの最後に、岡田先生は受験生へ向けて、こんなメッセージを送ってくださいました。
「みなさんの人生は、これからたくさんの選択と決断の連続です。中学受験も、その大きな一つですね。でも、その選択が正しかったかどうかは、その瞬間には誰にも分かりません。大切なのは、その後です。自分で選んだ道を信じ、努力を積み重ねていくことで、初めて『あのときの選択は正しかった』と思えるようになるのだと思います」

 この言葉には、同校が大切にしている教育の考え方が凝縮されているように感じました。一人ひとりの個性を尊重し、挑戦する勇気を育み、やがて社会の中で誰かの力になれる人へと成長してほしい――。それが、岡田先生の描く教育の姿なのでしょう。

 共学化という新たな一歩を踏み出した明法中学・高等学校。改革はまだ道半ばですが、その歩みを支えているのは、「多様な個性を尊重し、創造性を育み、他者に貢献できる人を育てたい」という一貫した教育への思いです。
 制度や設備だけでは語れない、学校全体に流れる温かな空気。それこそが、今回の取材を通して感じた、明法中学・高等学校の何よりの魅力でした。ぜひ一度、学校説明会やオープンスクールに足を運び、同校ならではの校風を感じてみてください。

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