LOVELY LIBRARY 第28回·実践女子学園中高の図書館《特別編》
情報誌『ONETES Plus(旧・shuTOMO)』2026年4月19日号でご紹介した実践女子学園中学校・高等学校の「LOVELY LIBRARY」取材時に先生方に伺ったお話を、特別編としてWebでお伝えします。〈取材・撮影・文/ブランニュー・金子裕美〉
言葉の意味や響きに敏感だった子どものころ
--幼いころから本は身近でしたか。
加藤先生 子どものころから好奇心は旺盛で、特に言葉への関心が強かったので、本を読むときも、知らない言葉やいい響きの言葉に出会ってわくわくしたり、こんな表現があるんだ!と感動したりしながら楽しんでいました。本は新しい知識や未知の世界と無限につながれるアイテムだと思います。
--言葉に興味をもったきっかけを覚えていますか。
加藤先生 特にきっかけは思い出せないのですが、家庭での日常の会話の中で自然にいろいろな言葉や知識を織り込んでもらえていたことが大きかったかもしれないです。何かに興味を持つことのきっかけは、好きでも嫌いでもいいと思うんですよね。好きだったら心が弾んでますます興味が深まるでしょうし、嫌いだったら違和感や引っかかっていることが何なのか自分で調べたり考えたりするかもしれません。図書館はそういう心の動きや感覚みたいなものを刺激する役割も持っていると思います。
図書館は本の貸し借りだけじゃない
--司書教諭に興味をもったのはいつごろですか。
加藤先生 中高時代の図書館での体験が今に至るきっかけになりました。高校生になって具体的に進路を選択していく時期に、自分が学びたいと思っていることが学問領域としてどこに位置づけられるかを考えすぎて、これ以上考えても答えが出ない!と思ったときに図書館に行ったのです。図書館にはありとあらゆる分野の本が分類されて並んでいます。母校の図書館も、体系化された知を身体で感じられるような空間で、さまざまな工夫や仕掛けが施されていました。開架の書棚を眺めているうちに、頭が整理されて本当に助かりました。そして司書の先生がじっくり話を聞いてくださって、自分の答えを出すための材料となる知識や情報、資料をたくさん与えてくださいました。本と人をつなげる司書や司書教諭がいてこその図書館だということを、身をもって体験し、いろいろなことに全力で迷ったり悩んだり考えたりする中高生の成長を支える学校図書館の運営に携わりたいという思いを強くもちました。
生徒主体の委員会活動も読書推進に寄与
--選書で意識していることはありますか。
加藤先生 中1から高3までが利用する図書館なので、6年間にわたり、読みつないでいけるようなイメージで、やわらかめのものからかためのものまで幅広い分野の本を取り揃えることを意識しています。また、授業や行事、部活動など課外活動含めて、学校の活動とリンクするものを選ぶように心がけています。
--今、生徒さんによく読まれている本があれば教えてください。
加藤先生 ひと昔前は「これ」と言えるものがあったと思うのですが、最近は生徒の興味が多様化していて、「これ」と言えるものはないですね。探究活動でも選ぶテーマはそれぞれですし……。強いて言えば、汐見夏衛さん、住野よるさんが人気でしょうか。
--読まれる本が分散しているというのは面白いですね。委員の皆さんが熱意をもってPOPや展示を作っている成果かもしれませんね。
加藤先生 学習院高等科の図書委員さんとのPOP交換は、本校の高校図書委員長のアイデアと行動力、そしてご縁で実現した企画ですが、日頃から図書委員として何ができるだろうかと考えていなければ、生まれなかったと思います。いただいたPOPを見てみると、共通して響く本もあれば、普段、この図書館では目にしないような本もあって、とても面白い交流になりました。
--委員の皆さんは、チームで企画して実行するという、社会に出てからも役立つ実践力を養っていますよね。
加藤先生 委員会に限らず、生徒主体で動こうとする姿勢は、脈々と受け継がれてきた本校の伝統の一つなのではないかと思います。先輩の姿を見て生徒たち自身で受け継いできたものだと思います。読書週間に中学生がPOP展示やポスター制作などを行ったときには、効果的な方法を検討したり、伝えたいポイントを絞る工夫をしたり、考える過程も大事にしています。高校生は「先生のおすすめ本」の展示を企画しました。数名の先生にインタビューしてまとめたPOPを本といっしょに展示しました。動画班は先生に出演してもらう形でPR動画を作りました。生徒に任せることによって、私にはない発想や表現などをしてくれることも多く、クリエイティブな委員会活動になっていると思います。
校名の「実践」を心がけ、中高の図書委員の皆さんが心を込めて作ったPOPや展示が、散りばめられている図書館は、親しみや誠実さを感じることができる、居心地のいい空間でした。生徒の主体性を重んじる図書委員会の活動が、今後どのような広がりを見せるのか、楽しみです。同校を訪れた際は、ぜひ図書館に立ち寄り、その雰囲気を感じてみてください。
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